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歩掛とは|読み方・人工との違いと、標準歩掛が令和8年度に24工種動いた中身

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歩掛とは|読み方・人工との違いと、標準歩掛が令和8年度に24工種動いた中身

この記事でわかること

歩掛(ぶがかり)は、ある作業を1単位仕上げるのに必要な労務・機械・材料の標準的な所要量です。土木では国土交通省が「土木工事標準歩掛」として公表しており、毎年の実態調査にもとづいて改定されています。令和8年度は新規制定7工種・改定17工種の計24工種が動きました(令和7年度は計14工種、いずれも原資料の内訳から編集部が集計)。注目したいのは動いた方向で、資材基地からの移動時間や作業休止時間の増加で「実作業時間が短くなり日当たり施工量が減少している傾向が見られた」ことを理由とする改定が、令和7年度の5工種から令和8年度は8工種に増えています。

主要データ

  • 令和8年度の土木工事標準歩掛は新規制定7工種・改定17工種(計24工種は原資料の内訳から編集部集計。国土交通省、2026年2月27日公表、令和8年度から適用。国土交通省・土木工事標準歩掛
  • 令和7年度は新規制定3工種・改定11工種(計14工種も同様に編集部集計。同省、2025年2月28日公表)
  • 実作業時間の短縮を理由とする改定は5工種→8工種に増加(移動時間・機械の回送時間・作業休止時間の合計、同省資料から編集部集計。資材の搬入制約1工種は別枠)
  • 移動時間で日当たり施工量の減少が確認されたのは11工種、作業休止時間では6工種(令和8年度改定の参考資料に列挙、標準歩掛と施工パッケージの両方を含む)
  • 市場単価は鉄筋工・ガス圧接工・軟弱地盤処理工の3工種が廃止。うち鉄筋工とガス圧接工は土木工事標準歩掛へ移行(同省、令和8年度)

歩掛とは何か — 作業1単位あたりの「手間の量」

歩掛は「ぶがかり」と読みます。ある作業を1単位(1㎡、1m、1m³など)仕上げるのに、どれだけの労務・機械・材料が要るかを数値にしたものです。

形としては「型枠工 100㎡あたり 型わく工◯人」のように、施工数量の単位とセットで示されます。仮に100㎡あたり3.5人だとすれば、この3.5が歩掛です(この数値は説明用の仮の例で、公表値ではありません)。積算はこの積み上げでできています。

人工(にんく)との違いもここで整理しておきます。人工は「作業員1人が1日働く量」を1として労務を数える単位そのものです。歩掛は「その作業に人工がいくつ要るか」を示す係数です。順番としては、施工数量を歩掛の単位に換算して歩掛を掛けると必要人工が出て、人工に労務単価を掛けると労務費が出ます。単位の換算を飛ばすと桁を間違えます。100㎡あたりの歩掛なら、500㎡の工事は5を掛ける、という具合です。

データで見る

公共工事設計労務単価の推移

労務単価の側は毎年公表されており、令和8年度は全国全職種の加重平均で25,834円、14年連続の上昇です(公共工事設計労務単価、国土交通省、2026年2月17日公表)。単価が上がれば労務費は上がります。ただし労務費は「歩掛 × 数量 × 単価」なので、単価だけを追っていても見積の精度は上がりません。歩掛が現場実態からずれていれば、単価をいくら正確にしても答えは合わないからです。

標準歩掛は毎年動いている — 令和8年度は24工種

「標準歩掛」と聞くと固定された表を思い浮かべますが、実際は毎年改定されています。国土交通省が全国での施工実態調査にもとづいて見直し、年度ごとに公表する仕組みです。

直近2年の改定規模を並べます。

  • 令和8年度(2026年2月27日公表、令和8年度から適用):新規制定7工種・改定17工種の計24工種
  • 令和7年度(2025年2月28日公表):新規制定3工種・改定11工種の計14工種

いずれの件数も国土交通省の報道発表資料(別紙・参考資料)に記載された工種数をもとに編集部が集計したものです(国土交通省・土木工事標準歩掛)。原資料にその合計が書かれているわけではありません。

令和8年度の新規制定7工種は、鉄筋工、土のう工、防塵処理工、橋梁補修工(塗装塗替足場工)、橋梁補修工(高力ボルト当て板鋼桁補強工)、トンネル補修工の断面修復工(左官工法)と剥落防止対策工(可視繊維シート接着工)です。維持修繕系が目立ちます。

施工パッケージ型積算方式のほうも令和8年度に8工種が改定されました。こちらは機械土工や捨石工など、土工・基礎の基幹工種が中心です。

動いている方向 — 「日当たり施工量が減っている」

件数より重いのは、改定の理由です。令和8年度の改定17工種を理由別に分けると、次のようになります。

  • 使用機械・労務等の変動による改定:8工種
  • 移動時間を考慮した改定:6工種
  • 建設機械の回送時間を考慮した改定:1工種
  • 作業休止時間を考慮した改定:1工種
  • 資材の搬入制約を考慮した改定:1工種

このうち移動時間・回送時間・作業休止時間の3つは、いずれも「実作業時間が短くなった」ことを理由とする改定で、合計8工種あります。令和7年度は移動時間4工種と回送時間1工種の計5工種だったので、この枠が広がっています。残る資材の搬入制約1工種(PC橋架設工)は、参考資料では「建設機械の回送時間を考慮した歩掛の改正」の側に、PC橋架設工(架設機械据付・解体)として含まれています。別紙と参考資料で分類が違うので、ここでは別枠として数えています。

ここからは数え方が変わります。国土交通省の参考資料には、日当たり施工量の減少が確認された工種を横断で並べたリストが別にあります。移動時間を理由とするものが11工種、作業休止時間を理由とするものが6工種です。こちらは標準歩掛と施工パッケージの両方を含む横断リストで、上の「改定17工種」の内訳ではありません。両者を足したり引いたりすると数が合わなくなります。

移動時間側の11工種は、半たわみ性(コンポジット)舗装工、伸縮装置工(鋼製)、トンネル漏水対策工、濁水処理工(一般土木工事)、地すべり防止工(ふとんかご)、路上路盤再生工、トンネル濁水処理工、トンネル工(NATM)〔発破工法〕、トンネル補修補修工(ひび割れ補修工)低圧注入工(「補修」の重複は原資料の表記のまま)、排水構造物工(鉄筋コンクリート台付管)、笠コンクリートブロック据付工。

作業休止時間側の6工種は、鉄筋工、仮囲い設置撤去工、土のう工、路上路盤再生工、排水構造物工(鉄筋コンクリート台付管)、笠コンクリートブロック据付工です。

減っているのは「実作業時間」で、その中身は公表されている

ここが実務で使えるところです。国土交通省は、何が実作業時間を削っているかを資料で明示しています。

まず前提として、KY活動・準備体操・現場内の移動・後片付けは、もともと就業時間に含まれ標準歩掛にも反映済みとされています。これらは新しい話ではありません。

令和8年度の改定で追加されたのは、その外側の2つです。

1つは資材基地から現場への移動。路上工事のように常設の作業帯を現場に置けない工事では、資材の積込・現場への移動・現場からの移動・資材の取卸が別途発生します。国交省は令和4年度に調査表を全面見直ししてこれを拾えるようにし、令和7年度の調査でトンネル工事や砂防工事でも同じ傾向が出たため、令和8年度の歩掛に反映しました。

もう1つは作業休止時間。資料には振動作業対策・腰痛予防対策・熱中症予防対策が理由として挙がっています。これらの休止が増えた結果、8時から17時という就業時間の枠は変わらないのに、実際に手を動かせる時間が細切れになって短くなった、という整理です。

国土交通省の資料が書いているのは、現場移動等や作業休止時間等により実作業時間が短くなり、日当たり施工量が減少している傾向が見られたところまでです。原因の内訳や、現場ごとにどれだけ減ったかまでは示されていません。それでも、日当たり施工量が下がる方向の改定が実態調査を根拠に行われた、という事実は基準の側に残ります。

鉄筋工は市場単価から標準歩掛へ移った

令和8年度でもう1つ実務に効くのが、市場単価の一部廃止です。鉄筋工・ガス圧接工・軟弱地盤処理工の3工種について、良好な取引が行われたデータの収集が困難になってきたことを理由に、市場単価方式による単価設定が廃止されました。

このうち鉄筋工とガス圧接工は土木工事標準歩掛へ移行します(軟弱地盤処理工は移行先が示されていません)。市場単価は施工単位あたりの単価がそのまま示される方式で、標準歩掛は労務・機械・材料の所要量から積み上げる方式です。値の出し方が変わるので、鉄筋工事を扱う会社は積算の手順そのものを組み直すことになります。

あわせて鉄筋工は、前述の「作業休止時間で日当たり施工量が減った6工種」にも入っています。新規に標準歩掛が制定され、その歩掛は休止時間を織り込んだ水準で設定されている、という関係です。

自社の歩掛と突き合わせる

標準歩掛は直轄土木工事の積算基準であって、民間工事にそのまま適用されるものではありません。それでも使える場面は3つあります。

1. 自社の実績歩掛が何年前のものか確認する。多くの会社が見積に使っているのは、過去の現場から積み上げた自社歩掛です。それを何年も更新していないなら、移動時間と作業休止時間の増加分が丸ごと抜け落ちている可能性があります。国交省が実作業時間の短縮を理由とする改定を2年で5工種から8工種に広げたのは、その分だけ現場の条件が変わったことを実態調査で拾ったという意味です。

2. 見積が合わない工種を特定する。「予定より人工がかかった」が続く工種があるなら、まずその工種が上に挙げた改定17工種や、横断リストの11工種・6工種に載っているかを見ます(それぞれ数え方が違うので、載っているかどうかだけを見ます)。載っていれば、職長個人の問題と決めつける前に作業条件の変化を疑う材料になります。載っていなければ別の理由を探すことになります。国交省の資料が示しているのは列挙された工種で傾向が確認されたところまでで、個別の現場で何が効いたかまでは分かりません。

3. 価格交渉の根拠にする。民間工事の発注者に「手間が増えた」と口頭で言っても通りません。国土交通省が実態調査にもとづき、移動時間と作業休止時間を理由に日当たり施工量の基準を下げた、という事実は、年度と工種を特定して示せる公的な材料です。自社の都合ではなく業界全体の実態として話を始められます。

失敗しがちな読み方

よくある取り違えを2つ挙げます。

1つは標準歩掛を「達成すべき目標値」と読むことです。標準歩掛は予定価格を積算するための標準値であって、現場のノルマではありません。「標準歩掛では1日80㎡なのだから80㎡やれ」という使い方をすると、現場条件を無視した工程になります。国交省自身、令和8年度の改定で標準歩掛が適用できる施工規模と適用できない範囲を詳細化し、小規模施工では別途考慮すべき現場条件を明記する方向に動いています。

もう1つは土木の標準歩掛を建築の見積にそのまま持ち込むことです。この記事で扱ってきた「土木工事標準歩掛」は直轄土木工事の基準です。建築には国土交通省官庁営繕部が所管する「公共建築工事積算基準」「公共建築工事標準単価積算基準」という別の体系があり、歩掛の考え方も所管も分かれています。民間建築ではこれらに加えて、案件・会社ごとの実績歩掛や専門工事業者の見積を併用することが多くなります。土木の標準歩掛は「作業条件が変われば歩掛も変わる」という考え方の参考にはなりますが、数値をそのまま流用するものではありません。

データの見方と限界

この記事で使った件数は、いずれも国土交通省の報道発表資料(別紙・参考資料)に記載された工種数です(国土交通省・土木工事標準歩掛)。計24工種・計14工種、および実作業時間の短縮を理由とする5工種・8工種は、その内訳から編集部が集計した値で、原資料にその合計が書かれているわけではありません。

注意点を3つ。

第一に、対象は国土交通省の直轄土木工事です。都道府県や政令市には地方ブロック発注者協議会等を通じて情報提供される仕組みですが、適用の時期や範囲は発注機関ごとに異なります。自社が入札する機関の運用を個別に確認してください。

第二に、「日当たり施工量が減少している傾向」は列挙された工種について確認されたものであり、すべての工種で施工量が下がったという意味ではありません。令和8年度の改定17工種のうち8工種は使用機械や労務の変動による改定で、これは増減どちらの方向もあり得ます。

第三に、改定の件数は年度によって変動します。24工種と14工種の差をもって「改定が加速している」と単純に読むのは危険です。言えるのは、直近2年とも二桁の工種が動いていること、そして実作業時間の短縮を理由とする改定の枠が広がったことまでです。また別紙と参考資料では分類の粒度が異なる箇所があるため、カテゴリ別の件数と横断リストは別々に読んでください。

個別の歩掛の数値は、国土交通省が公表する土木工事標準歩掛および施工パッケージ型積算方式標準単価表で確認してください。積算に使う際は、適用年度と適用範囲を必ず合わせてください。

出典:各省庁公式データ。最終更新日を必ずご確認ください。
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