データで見る建設業のM&A・事業承継
後継者不在率・M&A件数・許可業者の新陳代謝から、建設業の構造転換を可視化しています。
最終更新:2025年(年次)
後継者不在率(2025年)
57.3%
M&A件数(2024年)
34件
許可業者数(2024年度)
48.4万
建設業の後継者不在率は57%で、主要 8 業種の中で最も高い水準です
帝国データバンクの調査によると、建設業の後継者不在率は 2025 年時点で 57.3% と、全業種平均の 50.1% を約 7 ポイント上回り、帝国データバンクの業種大分類(主要 8 業種)比較でも最も高い水準です。2018 年のピーク(71.4%)からは 14 ポイント改善しましたが、依然として半数超の建設会社で後継者が決まっていません。建設業許可は、個人事業主の死亡で失効するほか、法人でも常勤役員や営業所専任技術者・専任技術者の要件を欠けば失効リスクがあり、経営者の引退前に承継計画の整備が必要になります。2019 年改正建設業法により 2020 年 10 月 1 日から許可承継制度が施行されており、事業譲渡・合併・分割・相続の場面で活用できる選択肢が広がっています。
後継者不在率(建設業 × 全業種)
出典:帝国データバンク 後継者不在率動向調査
上場企業の建設業M&Aは2020→2024で約3.8倍に増加しています
レコフデータによると、上場企業ベースの建設業 M&A 件数は 2020 年の 9 件から 2024 年の 34 件へ、4 年間で約 3.8 倍に増加しました。2025 年にはインフロニア HD による三井住友建設の公開買付け(2025 年 5 月 14 日 経営統合説明資料で買付代金総額 約 940 億円、同年 9 月 19 日 TOB 結果で買付株数 126,464,423 株)が公表され、両社 2024 年度売上高の単純合算で約 1.3 兆円規模となる準大手クラスが視野に入っています。M&A 増加の背景には、後継者不在による事業承継ニーズ、人手不足対応のための規模拡大、国土強靭化に対応する技術力確保があります。中小建設会社にとっては、「買われる側」としての M&A が廃業に代わる選択肢になりつつあります(ただし本グラフは上場企業ベースのため、中小同士の事業承継型 M&A は別集計)。
建設業 M&A件数の推移
※ レコフデータの集計対象は上場企業のM&A案件です。中小企業同士の事業承継型M&Aは別集計のため本グラフには含まれません。
出典:レコフデータ MARR Online(上場企業M&A)
関連記事

ゼネコン決算の読み方|薄利体質と採算改善、中小への示唆
大手ゼネコンは資材・労務費高による採算悪化から、価格転嫁と選別受注で増収・最高益へ。ただし営業利益率は1桁台(2026年3月期で5.8〜9.0%)と薄利。決算が映す建設市況と、中小建設の見積り・選別受注への示唆を経営の視点で整理します。

建設業の働き方改革|週休二日の二極化と労働時間の現在地
建設業の働き方改革の現在地。週休二日は公共で進み民間は遅れる二極化。年間労働時間は全産業より約350時間長いが減少傾向。時間外上限規制と改正建設業法の要点を経営の視点で整理します。

データセンター建設市場|AI需要で急増する国内投資・主要立地・ゼネコン受注の現状
国内データセンター建設は生成AI需要の急増と政府の半導体・データセンター政策を背景に2023年以降の投資が大幅拡大。市場規模はIDC Japan予測で2028年に5.1兆円。主要立地は印西・大阪・北海道・九州、大手ゼネコン5社が大型案件を受注。電力契約・冷却方式・耐震設計など建設特有の論点を整理。

ゼネコンとは|スーパーゼネコン5社の定義と大手4社の売上・決算2026
ゼネコンは元請として工事全体を統括する総合建設会社です。一般に売上1兆円規模の5社をスーパーゼネコンと呼び、大手4社の2026年3月期決算と中小建設業の倒産動向を整理します。

建設業の後継者不在率は2025年に57.3%、全業種ワースト維持も7年連続改善
TDB 2025年調査で建設業の後継者不在率は57.3%。全業種で最も高い水準だが2018年71.4%から14.1ポイント低下し7年連続改善。事業承継の選択肢と中小事業者の対応論点を整理。

建設業の倒産2025年は2,021件で12年ぶり2,000件超、休廃業1万件超と合わせ年間1.2万社が退出
帝国データバンク2026年1月発表で2025年の建設業倒産は2,021件、4年連続増で12年ぶりに2,000件超。休廃業・解散は1万283件で初の1万件超、産業別2位。退出企業と原因構造を解説。

建設DX成功事例と失敗事例|中小工務店が今日から始める5ステップ
建設DXの現状と課題を公的データで整理。中小工務店向けにCCUS→クラウド図面→電子契約→BIM→ICT施工の5ステップ導入ロードマップ、ROIの考え方、補助金制度の確認方法を解説。

建設DXの現在地|BIM導入率49.7〜58.7%・ICT施工88%・CCUS181.8万人の実態
建設DXの現在地をBIM導入率(調査対象別49.7〜58.7%)、ICT施工直轄88%、CCUS175万人の公的データで解説。大手と中小の導入格差、i-Construction 2.0の目標、中小建設会社が着手できる具体的な手順を整理。

建設業M&Aの実態|上場企業ベースで5年で約4倍、中小の事業承継の選択肢と許可承継制度
上場企業を当事者とする建設業M&A件数は2020年9件から2024年34件へ約4倍(レコフデータ)。後継者不在率57.3%(帝国データバンク2025年)の構造と、中小建設会社の事業承継型M&A・許可承継制度を実務目線で解説。

BIMとは?活用率38%の現実と経審・公共工事対応の実務効果
BIMの基本から活用率38%の実態、最大の課題「二重作業」まで。国交省データと海外比較で見る建設DXの現実と、2023年度から始まった直轄工事BIM/CIM原則適用への対応を解説。

建設テックカオスマップ
建設テック企業を主要8カテゴリに分類し、現場導入率・効果測定データで実用性を検証。経営層のDX投資判断に必要な業界俯瞰情報を提供します。

建設業の資金繰り悪化
帝国データバンク・東京商工リサーチの調査データから建設業の資金繰り実態を分析。手形サイト短縮や出来高払いなど工事代金回収の構造的課題と改善策を解説します。

建設業電子契約の導入効果と運用課題の実態分析
建設業法上の電子契約制度の概要と導入企業のコスト削減効果・運用課題を実態データで解説。印紙税削減や処理時間短縮の定量効果と検討ポイントを分析します。

建設投資見通し2024-2025|受注戦略に活かすデータ分析
国交省「令和7年度建設投資見通し」等のデータから政府・民間投資の推移を分析。中小建設業者が受注戦略と設備投資計画に活用する判断材料を解説します。