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データで見る中東情勢と建設業

Operation Epic Fury(2026年2月28日)とホルムズ海峡封鎖を起点とした、原油・ナフサ・LNG・建材値上げの可視化ダッシュボードです。

最終更新:2026年9月分

WTI原油(2026-09)

97.31ドル/bbl

+16.0%

米EIA Spot Prices(FRED経由:MCOILBRENTEU / MCOILWTICO)

ナフサ 通関価格(2026-09)

9.5万円/kL

財務省 貿易統計(通関ベース)/ 日本石油化学工業協会 スポット価格 / ゴムタイムス

アジアLNG(2026-09)

26.64ドル/MMBtu

IMF Primary Commodity Prices「Global price of LNG, Asia」(FRED経由:PNGASJPUSDM)

値上げ・受注停止の発表件数

21件

各社公式リリース・東京製鐵販売価格表(公式が無いものはロイター・新建ハウジング等の報道)

Brent原油は2026年4月に月平均117ドル、7月に84ドルまで下げた後、9月に114ドルへ戻りました

米EIAの月平均で見ると、Brent原油は2025年の平均が69.10ドル(編集部試算)で、2026年2月も70.89ドルでした。2月28日の Operation Epic Fury 発動の後、3月は103.13ドル(前月比+45%)、4月は117.29ドルまで上がりました。その後は5月107.14ドル、6月85.40ドル、7月83.76ドルと下げましたが、8月91.08ドル、2026年9月は114.16ドル(前月比+25%)と再び上がっています。9月の水準は2025年平均の約1.65倍です(平均・前月比・倍率はいずれも編集部試算)。WTIも同じ形で、2月64.51ドル→5月102.13ドル→7月80.46ドル→9月97.31ドルと動いています。7月の下げで終わったと見て見積単価を戻すと、9月の再上昇で外れます。原油は燃料費だけでなく、樹脂・接着剤・溶剤・防水材など石油化学系建材の起点価格です。値上げ交渉や見積の有効期限は、単月の上下ではなく数か月の水準で判断する方が安全です。

Brent × WTI 原油価格の月次推移

※ 日次スポット価格の月平均です。月中の高値・安値は表しません。倍率は編集部試算です。

出典:米EIA Spot Prices(月平均)

ナフサの通関価格は2026年5月に12.4万円まで上がり、スポットに追いつきました

ナフサは石油から作られる石油化学の基礎原料で、断熱材・塗料・シーリング材・接着剤・塩ビ樹脂など多くの建材の出発点です。グラフには2種類の価格を並べています。一つは「スポット価格」(市場で日々取引される即時の値段)、もう一つは「通関価格」(実際に日本に輸入された際に財務省が集計する月次の公式統計)。スポット価格は2025年を通して1キロリットルあたり5〜6万円台で変動していました(2025年の最安は11月の53,200円、最高は1月の66,200円)。2026年2月は68,100円で、2025年のレンジをすでに上抜けていました。流れが変わったのは2026年3月で、Operation Epic Fury 発動(2月28日)とホルムズ海峡封鎖の本格化を受けて前月比+44%の98,400円にジャンプ、4月には134,000円(1トン1,190ドル/1ドル160円・1トン≒1.41kL換算)まで追加で跳ね上がりました。2025年の最安値と比べて約2.5倍です。ただし直近の2026年5月は123,000円と前月比8%下げており、上昇は一服しています。一方、通関価格(財務省貿易統計の石化用ナフサ輸入CIF)は3月まで66,069円/kLと、スポットの急騰に比べれば緩やかでした。通関統計は契約・船積みから集計までのタイムラグがあるためです。そのタイムラグが明けた結果が出ています。4月は101,754円/kLで前月比+54%、5月は123,732円/kLへさらに上がり、同月のスポット(123,000円/kL)とほぼ並びました。その後は6月121,885円/kL、7月104,331円/kL、8月87,916円/kLと3か月続けて下がった後、9月は95,243円/kL(速報)と前月比+8%で4か月ぶりに上がり、3月の約1.4倍の水準です(前月比・倍率は編集部試算)。3月から5月までの2か月で通関価格は87%上がりました。なお製品価格交渉の基準となる国産ナフサ基準価格(四半期)は、2026年1〜3月期の65,700円/kLに対し、4〜6月期は118,900円/kLで確定しました(前四半期比+53,200円、約1.8倍)。価格水準・四半期の上昇幅とも過去最高です(日本経済新聞2026年7月・化学工業日報2026年7月)。断熱材40%・シンナー75%といった値上げラッシュの根本原因がここにあり、スポット価格はメーカーの仕入原価を通じて既に波及済み。通関統計の急上昇は「見えるコストアップが来る」ことの先行シグナルとして押さえておくべき指標です。

日本ナフサ スポット価格 × 通関価格

※ スポットは日本着CIF換算の概算値で、為替と密度換算(1トン≒1.41kL)により数%の誤差を含みます。通関価格は財務省貿易統計の石油化学用ナフサ(統計品目 271012181)の輸入CIFで、月ごとに金額÷数量で算出した単価です(編集部試算)。2026年1〜8月は確報、9月は速報で、9月分は確報の公表時に改定されることがあります。2026年6月以降のスポットは月次の一次データを確認できていないため空欄です。

出典:財務省 貿易統計(通関ベース)/ 日本石油化学工業協会 スポット価格 / ゴムタイムス

アジアのLNG価格は2026年9月に月平均26.6ドルとなり、3月の急騰時(20.8ドル)を上回りました

IMFが公表するアジアのLNG価格(月平均)は、2025年は9.91〜14.72ドル/MMBtu(平均12.09ドル、編集部試算)の幅で動いていました。2026年2月の10.75ドルから3月は20.81ドルと約1.9倍になり、4月は16.57ドルに下げました。5月18.10ドル、6月17.19ドルの後、7月19.56ドル、8月22.04ドルと3か月続けて上げ、2026年9月は26.64ドルで3月を上回っています。2026年3月以降の7か月はいずれも2025年の最高値(14.72ドル)を上回り、9月は2025年平均の約2.2倍です(2025年平均・倍率はいずれも編集部試算)。LNGは電力・都市ガスの燃料で、セメント・ガラス・石膏ボード・鉄鋼の製造コストと住宅の光熱費の両方に影響しうる価格です。ただし電気・ガス料金への反映は契約や料金制度によって時期と幅が異なり、このグラフの値がそのまま請求額に表れるわけではありません。現場事務所・モデルハウスの光熱費は、手元の請求書の燃料費調整額と並べて確認するのが確実です。

アジアLNG価格(IMF)の推移

※ IMFの月平均値で、JKM(Platts)のスポット価格ではありません。月中の高値は表しません。倍率は編集部試算です。

出典:IMF Primary Commodity Prices「Global price of LNG, Asia」

日銀CGPI 建設資材は2026年9月時点で合板・集成材が前年比16.4%と最大の上昇。セメントは12か月横ばい

日本銀行の企業物価指数(CGPI、2020年=100)で建設資材の代表品目を見ると、2026年9月時点で生コンクリート163.1、セメント166.2、小形棒鋼157.9、製材140.9、合板・集成材155.1です。2026年2月時点(生コン156.5、セメント166.2、小形棒鋼149.4、製材136.4、合板・集成材137.8)と比べると、ナフサショック後の切り上がりが品目によってはっきり分かれました。最も動いたのは合板・集成材で、前年比+16.4%と5品目で最大です。小形棒鋼も2025年11月の148.0を底に+6.7%と反転しました。一方でセメントは2025年10月から12か月連続で166.2のまま動いていません。各社の値上げリリース(下のトラッカー)と原油・ナフサ指標が先行指標で、CGPIは実際の取引価格の統計として後から追随する構図のため、品目別の前月比変化を毎月見ておくと転嫁交渉の材料になります。

日銀CGPI 建設資材 品目別の推移

※ /data/construction-cost でも同じデータを扱っています。CGPIの公表は翌月第2週前後です。直近数か月は速報値で、後の公表で遡って改定されます(2026年8月分の公表時に5〜7月分、9月分の公表時に7〜8月分が改定)。前年比・底からの上昇率は指数から編集部が試算した値です。

出典:日本銀行 企業物価指数(品目別)

2026年3〜4月に主要メーカーの値上げ・受注停止の発表が集中しました

2026年3月以降、断熱材・塗料・住設機器・鋼材・サッシ・防水・塩ビ樹脂・石膏ボードの各分野で大手メーカーが相次いで値上げを発表しました。断熱材はカネカ(カネライトフォーム)・デュポン・スタイロ(スタイロフォーム)・JSP(ミラフォーム)の押出法ポリスチレンフォーム3社がいずれも40%値上げです。塗料は日本ペイントが3月19日にシンナーを75%値上げし、エスケー化研は4月1日からシンナーを改定(率は非公表)したうえで、5月11日出荷分から製品全般を10〜30%上げました。浴室まわりでは、TOTOが4月13日にシステムバス・ユニットバスの新規受注を一時停止し(6月9日に通常対応へ)、クリナップも4月15日から受注を見合わせました(4月22日に再開)。LIXILは4月から水まわり商品の納期が遅れ、全商品が通常納期に戻ったのは8月末です。防水では田島ルーフィングが4月1日に40〜50%の値上げを発表し、4月10日に新規受注を停止しました。日新工業は4月1日に40%の値上げを発表し、その後4月9日・13日に受注を停止しています(5月1日に再開)。東京製鐵は4月契約で形鋼・異形棒鋼を1トン5,000円上げ、5月契約でH形鋼をさらに5,000円上げましたが、6月契約は据え置きました。なお、LIXILのサッシ2行は2025年11月7日の発表で中東情勢の前から告知済みですが、実施時期が重なるため併載しています。解除を確認できた受注停止(TOTO・クリナップ・日新工業)は数週間〜2か月で解けましたが、値上げを撤回した発表は見当たりません。見積は改定後の価格を前提に組み、契約に物価スライドの条項を入れておくと、再値上げのときに発注者と協議しやすくなります。

主要メーカー 値上げ・受注停止トラッカー(2026年3〜4月発表)

分野メーカー品目発表日実施日改定出典
塗料・溶剤日本ペイント
建築用シンナー
3月19日に販売店へ75%値上げを案内(同社2026年5月13日の公式リリースで経緯として明記)。
3/193/19+75%リリース
サッシ・開口部LIXIL
ビルサッシ/カーテンウォール
ビルサッシ・カーテンウォールは4月1日受注分から平均7%値上げ。
11/74/1+7%リリース
塗料・溶剤エスケー化研
シンナー製品
4月7日付の価格改定案内で「4月1日からシンナー製品の価格改定を実施している」と記載。改定率は公表されていない。
4/74/1値上げリリース
断熱材カネカ
カネライトフォーム(押出法ポリスチレンフォーム)
中東情勢によるナフサ供給不安を理由に、4月1日出荷分から現行価格の40%引き上げ。追加改定の可能性にも言及。
3/194/1+40%リリース
鋼材東京製鐵
H形鋼・異形棒鋼・厚板ほか(4月契約)
4月契約で形鋼・異形棒鋼・厚板を+5,000円/t。
3/164/1値上げリリース
鋼材東京製鐵
ホットコイル・熱延鋼板・酸洗鋼板ほか(4月契約)
ホットコイル・熱延鋼板類は+7,000円/t。金額改定のため%換算は市況により変動。
3/164/1値上げリリース
防水・ルーフィング日新工業
住宅建材(ルーフィング類)
4月9日17時に住宅建材(ルーフィング類)の受注を停止(第2報)。5月1日に新規受注を再開。
4/94/9受注停止リリース
住設機器LIXIL
水まわり商品(浴室・トイレ・キッチン・洗面化粧台・水栓金具)・タイル
4月10日に中東情勢による製品供給への影響を告知し、4月から納期の遅延・調整。9月16日の公式告知(https://www.lixil.co.jp/announce/delivery-normalization.htm)で、8月末にすべての対象商品が通常納期へ回復したと発表。
4/104/10納期遅延リリース
防水・ルーフィング田島ルーフィング
防水・住宅建材(全品目)
4月10日17時30分をもって防水・住宅建材の新規受注を停止。床材は通常営業を維持。
4/104/10新規受注停止リリース
住設機器TOTO
システムバス・ユニットバス
システムバス・ユニットバスの新規受注を一時停止。その他の商品は通常どおり受注。6月9日に通常対応へ戻った。
4/134/13受注停止リリース
防水・ルーフィング日新工業
防水材料全般
4月13日13時に防水材料全般の受注を停止(第3報)。5月1日に新規受注を再開。
4/134/13受注停止リリース
住設機器パナソニックハウジングソリューションズ
一部の商品
一部の商品について出荷数量・納期を調整すると告知。対象商品の名指しや「納期未定」の表現はない。
4/144/14出荷・納期の調整リリース
住設機器クリナップ
システムバス
4月15日から受注を見合わせ、4月22日に再開。
4/154/15受注停止リリース
防水・ルーフィング日新工業
アスファルトルーフィングほか
4月21日出荷分から現行価格に対して40%程度の値上げ(緊急の製品価格改定のお願い ver.1)。
4/14/21+40%リリース
サッシ・開口部LIXIL
住宅サッシ・ドア
住宅サッシ・ドアを平均5%程度(5月1日受注分から)。
11/75/1+5%リリース
断熱材デュポン・スタイロ
スタイロフォーム/ウッドラック
ポリスチレン断熱材・関連パネル製品を対象に5月1日出荷分から40%値上げ。
3/235/1+40%リリース
防水・ルーフィング田島ルーフィング
アスファルト系防水材料・断熱材(ポリスチレン・ウレタンフォーム類)
5月1日納品分から40〜50%の値上げ。イラン情勢の悪化を理由に公式リリース(第1報)で発表。
4/15/1+40〜50%リリース
鋼材東京製鐵
H形鋼・異形棒鋼・厚板・角形鋼管(5月契約)
5月契約でH形鋼+5,000円/t、異形棒鋼・厚板・角形鋼管+3,000円/t。6月契約は全品種据え置き。
4/205/1値上げリリース
断熱材旭化成建材
ネオマフォーム/ネオマゼウス
2025年11月19日の改定で4月1日出荷分から10〜15%値上げ済み。2026年4月14日の公式リリースで、5月7日から概ね20%の特別調整金を上乗せ。ネオマゼウスは生産停止。
4/145/7+20%リリース
塩ビ樹脂・配管積水化学工業
塩化ビニル管・ポリエチレン管および関連製品
5月7日出荷分から、塩化ビニル管12%以上・塩化ビニル継手6%以上・バルブ10%以上・ポリエチレン管20%以上・ポリエチレン継手5%以上・架橋ポリエチレン管15%以上。
4/25/7+5〜20%リリース
塗料・溶剤エスケー化研
製品全般(水性・溶剤・粉体)
5月11日出荷分から、水性製品15〜25%・溶剤製品20〜30%・粉体製品10〜15%。溶剤形の主力製品は4月21日出荷分から。
4/75/11+10〜30%リリース
塩ビ樹脂・配管信越化学工業
塩ビ樹脂(再値上げ)
4月20日発表、5月11日納入分から1kgあたり30円以上の再値上げ。ロイター報道による(公式リリースは確認できていない)。
4/205/11値上げリリース
断熱材JSP
ミラフォーム/スチロダイアブロック
中東情勢によるナフサ調達難・物流費上昇を理由に6月1日出荷分から40%値上げ。
4/16/1+40%リリース
石膏ボード吉野石膏
石膏ボード
石膏ボード本体+20%、加工費+40%(6月1日出荷分から)。公式文書の日付は「2026年3月吉日」で、発表日は新建ハウジングの報道(3月10日)による。
3/106/1+20%リリース

発表日・実施日は、確認できた範囲で各社公式リリースを優先し、公式リリースが公開されていない件は日本経済新聞・Bloomberg・新建ハウジング等の大手経済紙および業界専門媒体の報道を参照しています。各行「リリース」リンクから出典を確認できます。情勢により追加改定・受注制限が継続しているため、最新情報は各社サイトでご確認ください。

※ 発表日・実施日・改定率は各社の公式リリースで確かめています(信越化学工業は公式リリースが確認できず報道による)。幅で公表された改定率は幅のまま表示しています。2026年10月に全行を公式リリースと照合し直し、日付・率・対象が食い違っていた13行を訂正、裏付けの取れない4行を削除しました。各行の出典リンクから確認できます。

出典:各社公式リリース / 東京製鐵 販売価格表 / ロイター / 新建ハウジング

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出典:各省庁公式データ。最終更新日を必ずご確認ください。