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データで見る中東情勢と建設業

Operation Epic Fury(2026年2月28日)とホルムズ海峡封鎖を起点とした、原油・ナフサ・LNG・建材値上げの可視化ダッシュボードです。

最終更新:2026年4月分

WTI原油(2026-04)

94ドル/bbl

-5.8%

米EIA Short-Term Energy Outlook / Bloomberg / Oanda市況レポート

ナフサ スポット(2026-05)

12.3万円/kL

財務省 貿易統計(通関ベース)/ 日本石油化学工業協会 スポット価格 / ゴムタイムス

JKM LNG(2026-04)

15.4ドル/MMBtu

IEA Oil Market Report / S&P Global Platts JKM / 日本経済新聞

値上げ・受注停止の公表件数

26

各社公式プレスリリース・日本経済新聞・Bloomberg・新建ハウジング・リフォームオンライン・クラフトバンク総研

WTIは2026年3月に100ドル近くまで急騰、4月下旬は94ドル前後で推移しています

2026年2月28日に Operation Epic Fury(米軍コードネーム)が発動して以降、3月から4月にかけてホルムズ海峡の通航が断続的に制限されています。WTI原油は2025年後半の60ドル台から、2026年1〜2月に70〜80ドル台に上昇した後、3月に99ドル台(月中近傍)まで急騰し、4月23日時点では94ドル前後で推移しています。Brentも3月に105ドル、4月に99ドル前後のレンジで推移。米EIAは2026年通年のBrent平均を96ドル/バレルと見通しており、平時の70ドル台からおよそ1.3倍の水準です。建設業にとっては、原油の直接的な燃料コストだけでなく、樹脂・接着剤・溶剤・防水材など石油化学系建材の起点価格に反映されます。

Brent × WTI 原油価格の月次推移

※ 月中代表値。日中変動レンジが広いため、特に2026年3月以降は±5ドル程度の誤差を前提に見られたい。

出典:米EIA Short-Term Energy Outlook / Bloomberg / Oanda市況レポート

ナフサのスポット価格は2026年3月以降に2ヶ月連続で急騰、底値の約2.5倍水準に到達しました

ナフサは石油から作られる石油化学の基礎原料で、断熱材・塗料・シーリング材・接着剤・塩ビ樹脂など多くの建材の出発点です。グラフには2種類の価格を並べています。一つは「スポット価格」(市場で日々取引される即時の値段)、もう一つは「通関価格」(実際に日本に輸入された際に財務省が集計する月次の公式統計)。スポット価格は2025年を通して1キロリットルあたり5〜6万円台で変動していました(底は2025年5月の53,800円、2025年6月に64,500円へ戻す等)。2026年2月までも約68,000円と2025年のレンジ内でした。流れが変わったのは2026年3月で、Operation Epic Fury 発動(2月28日)とホルムズ海峡封鎖の本格化を受けて前月比+44%の98,400円にジャンプ、4月初旬には134,000円(1トン1,190ドル/1ドル160円・1トン≒1.41kL換算)まで追加で跳ね上がりました。2025年の底値と比べて約2.5倍、直前の2026年1月比でも2倍超の水準です。一方、通関価格(財務省貿易統計の石化用ナフサ輸入CIF)は2月確報で62,893円/kL、3月速報で66,069円/kLと、スポットの急騰に比べれば緩やかな上昇にとどまっています。これは通関統計に反映されるまで契約・船積みから数ヶ月のタイムラグがあるためで、今後4〜6月の統計更新で通関価格がスポットに追随して上昇する見込みです。なお製品価格交渉の基準となる国産ナフサ基準価格(四半期)は2026年1〜3月期が65,700円/kL、4〜6月期は11万円/kL超(前年比約1.75倍)が見込まれています。断熱材40%・シンナー75%といった値上げラッシュの根本原因がここにあり、スポット価格はメーカーの仕入原価を通じて既に波及済み。通関統計の急上昇は「見えるコストアップが来る」ことの先行シグナルとして押さえておくべき指標です。

日本ナフサ スポット価格 × 通関価格

※ スポットは日本着CIF換算の概算値で、為替と密度換算(1トン≒1.41kL)により数%の誤差を含みます。4月の通関価格はまだ公表されていないため空欄です。

出典:財務省 貿易統計(通関ベース)/ 日本石油化学工業協会 スポット価格 / ゴムタイムス

JKM LNGスポットは2026年3月に一時25ドル/MMBtu、平時の2倍超に到達しました

JKM(Japan Korea Marker)LNGスポット価格は攻撃前の11ドル台から、2026年3月に一時25ドル/MMBtuに到達しました。4月は政府による石炭火力50%上限の適用除外(LNG年160万トン節約狙い)などを受けて15ドル/MMBtu前後に低下しましたが、平時の10〜12ドル水準を大きく上回ります。電力・都市ガス料金を介して、セメント・ガラス・石膏ボード・鉄鋼の製造コストと、住宅の光熱費の両方に波及します。工事期間中のテナント負担増加、モデルハウス・事務所の固定費上昇にも影響します。

JKM LNG スポット価格の推移

出典:IEA Oil Market Report / S&P Global Platts JKM / 日本経済新聞

日銀CGPI 建設資材は2026年2月時点で生コン156・セメント166・小形棒鋼149・製材136。ナフサショック反映はこれから

日本銀行の企業物価指数(CGPI、2020年=100)で建設資材の代表品目を見ると、2026年2月時点で生コンクリート156.5、セメント166.2、小形棒鋼149.4、製材136.6、合板・集成材133.8となっています。今回のナフサショックはまだ反映されていない水準で、4〜6月の統計更新でどの程度切り上がるかが最大の注目点です。各社の値上げリリース(下のトラッカー)と原油・ナフサ指標が先行指標、CGPIが確定値として追随する構図のため、品目別の前月比変化を目安の一つとして毎月ウォッチする価値があります。

日銀CGPI 建設資材 品目別の推移

※ /data/construction-cost でも同じデータを扱っています。CGPIは月次の確定指数で、公表は翌月第2週前後です。

出典:日本銀行 企業物価指数(品目別)

2026年3〜6月に主要メーカーで値上げ・受注停止が集中しています

2026年3月以降、断熱材・塗料・住設機器・鋼材・サッシ・防水・塩ビ樹脂・石膏ボードの各分野で大手メーカーが相次いで値上げを公表しました。断熱材はカネカ(カネライトフォーム)・デュポン・スタイロ(スタイロフォーム)・JSP(ミラフォーム)の押出法ポリスチレンフォーム主要3社で揃って40%値上げ、塗料シンナーは日本ペイント75%・エスケー化研80%と過去に例のない上げ幅です。ユニットバスは4月13日にTOTOが新規受注を停止、翌14日にLIXILが納期回答を一時停止(納期未定化)、同日クリナップが新規受注を停止、パナソニックハウジングソリューションズもバス・トイレの納期を未定化しました。いずれも4月20日前後から段階的に再開しています。屋根下葺材では、田島ルーフィングが4月1日に値上げを発表した後、4月10日に新規受注を全面停止、日新工業は4月2日に値上げと受注停止を同時発表しました。なお、LIXIL のサッシ4行は2025年11月7日発表で中東情勢前から告知済みですが、実施タイミングが本騒動期と重なるため併載しています。工務店・ゼネコンは、短期の在庫確保、物価スライド条項の契約明記、顧客への価格転嫁ロジック整理を同時に進める局面です。

主要メーカー 値上げ・受注停止トラッカー(2026年3〜6月)

分野メーカー品目発表日実施日改定出典
塗料・溶剤日本ペイント
建築用シンナー(第1段階)
ホルムズ海峡封鎖によるナフサ起源の原材料調達難を理由に3月19日発注分から75%値上げ。日本経済新聞・Bloomberg・テレビ朝日等が報道。
3/193/19+75%リリース
サッシ・開口部LIXIL
ビルサッシ/カーテンウォール
ビルサッシ・カーテンウォールは4月1日受注分から平均7%値上げ。
11/74/1+7%リリース
断熱材カネカ
カネライトフォーム(押出法ポリスチレンフォーム)
中東情勢によるナフサ供給不安を理由に、出荷分から現行価格の40%引き上げ。追加改定の可能性にも言及。
3/194/1+40%リリース
塩ビ樹脂・配管信越化学工業
塩ビ樹脂(第1段階)
第1段階は1kgあたり+30円。塩ビ系配管・シーリング・床材等の材料原価に波及。発表日・率は業界まとめ記事ベース。
3/204/1値上げリリース
鋼材東京製鐵
H形鋼・I形鋼・異形棒鋼・厚板・鋼矢板ほか
中東紛争に伴う原油急騰を理由に形鋼・異形棒鋼・厚板を+5,000円/t。その後4月・5月と2ヶ月連続で追加改定を実施。
3/164/1値上げリリース
鋼材東京製鐵
ホットコイル・熱延鋼板・酸洗鋼板ほか
ホットコイル・熱延鋼板類は+7,000円/t。金額改定のため%換算は市況により変動。
3/164/1値上げリリース
防水・ルーフィング田島ルーフィング
防水・住宅建材(全品目)
4月10日17時30分をもって防水・住宅建材の新規受注を全面停止。床材は通常営業を維持。残案件の消化後に段階的な再開見込み。
4/104/10新規受注停止リリース
住設機器TOTO
システムバス/ユニットバス/トイレユニット
フィルム接着剤・コーティング溶剤の不足を理由に全シリーズの新規受注を一時停止。4月20日から段階的に受注再開、既存注文は予定通り出荷。一次確認は日本経済新聞。
4/134/13受注停止リリース
住設機器LIXIL
ユニットバス/システムバス
TOTOに連動する形でユニットバスの納期回答を一時停止し、既存注文も納期未定化。4月22日までに段階的に通常化へ。
4/144/14納期未定化リリース
住設機器クリナップ
システムバス
TOTO・LIXILに続いて受注を停止。4月下旬から段階的に再開。業界まとめ記事ベース。
4/144/14受注停止リリース
住設機器パナソニックハウジングソリューションズ
バス・トイレ商品
ナフサ調達不安定化の影響でバス・トイレの納期回答を「未定」化。一次確認は Yahoo!ニュース/J-CASTニュース。
4/144/14納期未定化リリース
塗料・溶剤日本ペイント
塗料本体・シンナー(第2段階 追加改定)
4月16日出荷分から塗料本体を10〜20%、シンナーを追加で15〜25%値上げ。中央値20%を記載。
4/84/16+20%リリース
塗料・溶剤エスケー化研
シンナー
日本ペイントの75%を上回る80%値上げ。業界全体でシンナー・溶剤の供給制限通知が出回る状況。発表日・率は業界専門媒体報道ベース。
3/254/21+80%リリース
防水・ルーフィング日新工業
アスファルトルーフィング
40%値上げと同時に新規受注を停止。下葺材供給の逼迫が屋根工事の工期を押し下げる。業界まとめ記事ベース。
4/24/21+40%リリース
サッシ・開口部LIXIL
住宅サッシ(アトモスⅡ、ATU、NCVオペラ、LW、サークルFIX 等)
住宅サッシを平均10%値上げ(5月1日受注分から)。セレクトサッシ・天窓は別行に分けて掲載。
11/75/1+10%リリース
サッシ・開口部LIXIL
セレクトサッシ
セレクトサッシは平均15%値上げ。
11/75/1+15%リリース
サッシ・開口部LIXIL
天窓
天窓は平均20%値上げ。
11/75/1+20%リリース
断熱材アキレス
硬質ウレタンボード
5月1日出荷分から40%値上げ、同時に出荷制限を実施。発表日・率は業界専門媒体報道ベース。
4/105/1+40%リリース
断熱材デュポン・スタイロ
スタイロフォーム/ウッドラック
ポリスチレン断熱材・関連パネル製品を対象に5月1日出荷分から40%値上げ。
3/235/1+40%リリース
防水・ルーフィング田島ルーフィング
アスファルト系防水材料・断熱材(ポリスチレン・ウレタンフォーム類)
5月1日納品分から40〜50%の値上げ(中央値45%を採用)。イラン情勢の悪化を理由に公式リリース(第1報)で発表。
4/15/1+45%リリース
断熱材旭化成建材
ネオマフォーム/ネオマゼウス
2025年11月19日の改定プランで4月1日出荷分から10〜15%値上げ済み。2026年4月14日に追加告知があり、5月7日から概ね20%の特別調整金を上乗せ適用。ネオマゼウスは生産停止。sourceUrl は当初の2025-11-19リリース(4月1日値上げ分の原典)を指す。4月14日発表の一次リリースは未公開のため、同リリースを代表URLとして掲載。
4/145/7+20%リリース
塩ビ樹脂・配管積水化学工業
塩ビ管/ポリエチレン管/架橋ポリエチレン管
塩ビ管+12%、ポリエチレン管+20%、架橋ポリ管+15%。給排水衛生工事の見積に直結。業界まとめ記事ベース。
3/255/7+12%リリース
塗料・溶剤エスケー化研
水性・溶剤・粉体塗料
10〜30%の値上げ幅で中央値20%を採用。公官庁案件ほど交渉余地が狭く、利益率を直撃する見込み。業界まとめ記事ベース。
4/75/11+20%リリース
塩ビ樹脂・配管信越化学工業
塩ビ樹脂(第2段階)
第2段階は1kgあたり+45円。第1段階と合わせると通算で概ね40%相当の値上げ。
4/155/11値上げリリース
断熱材JSP
ミラフォーム/スチロダイアブロック
中東情勢によるナフサ調達難・物流費上昇を理由に6月1日出荷分から40%値上げ。
4/16/1+40%リリース
石膏ボード吉野石膏
石膏ボード
石膏ボード本体+20%、加工費+40%。内装工事コストを直接押し上げる。業界まとめ記事ベース。
4/56/1+20%リリース

発表日・実施日は、確認できた範囲で各社公式リリースを優先し、公式リリースが公開されていない件は日本経済新聞・Bloomberg・新建ハウジング等の大手経済紙および業界専門媒体の報道を参照しています。各行「リリース」リンクから出典を確認できます。情勢により追加改定・受注制限が継続しているため、最新情報は各社サイトでご確認ください。

※ 発表日・実施日・改定率は、確認できた範囲で各社公式リリースを優先し、未公表分は大手経済紙・業界専門媒体の報道を参照。各行の出典リンクから確認できます。

出典:各社公式プレスリリース / 日本経済新聞 / Bloomberg / 新建ハウジング / リフォームオンライン / クラフトバンク総研

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