建設会社の倒産件数の推移|2026年上半期は倒産1,043件・撤退5,937件
帝国データバンク調査から建設会社の倒産件数の推移を可視化。2026年上半期は1,043件(前年同期比+5.8%)、休廃業・解散を含む撤退は5,937件と2000年以降最多。業種別・原因別・従業員規模別の内訳に加え、資本金階級別の営業利益率(法人企業統計)も掲載します。
最終更新:2025年(年次)
建設業倒産件数(2025年)
2,021件
+6.9%
帝国データバンク「建設業」倒産動向調査 (TDB) + 東京商工リサーチ (TSR、集計差あり)
連続増加
4年
帝国データバンク「建設業」倒産動向調査 (TDB) + 東京商工リサーチ (TSR、集計差あり)
物価高 / 人手不足倒産(2025年)
240 / 113件
帝国データバンク「建設業」倒産動向調査 (TDB) + 東京商工リサーチ (TSR、集計差あり)
従業員10人未満の割合(2024年)
92.2%
帝国データバンク「建設業」倒産動向調査 (TDB) + 東京商工リサーチ (TSR、集計差あり)
建設業の倒産は2021年を底に増え続け、2026年上半期は1,043件です
建設業の倒産件数は2021年の1,066件を底に2022年から4年連続で増加し、2025年には2,021件と2013年以来12年ぶりに2,000件を超えました。2026年上半期(1〜6月)も1,043件と前年同期の986件を5.8%上回っています。さらに休廃業・解散を含めた「撤退」は上半期だけで5,937件と2000年以降で最多になり、リーマン・ショック期を上回りました。法的整理の件数だけを見ていると、市場から静かに退出する事業者の多さを見誤ります。自社の財務体力と受注単価の転嫁状況を、この業界全体のトレンドと照らし合わせて点検する必要があります。
建設業 倒産件数の推移
※ 負債1,000万円以上の法的整理が対象。2020年は推定値を含みます。グラフは2025年までの年次値で、2026年上半期の数値は本文の補足です。倒産件数は帝国データバンク基準(東京商工リサーチとは集計基準が一部異なります)。撤退(倒産+休廃業・解散)の集計は帝国データバンク・日経クロステック報道(2026年7月)によります。
出典:帝国データバンク「建設業」倒産動向調査
2024年は職別工事業の倒産が最も多くなっています
2024年の業種別内訳を見ると、職別工事業(内装・塗装・防水等)が879件で最多、総合工事業(ゼネコン・工務店)が600件、設備工事業が411件と続きます。職別工事業は専門工種別の事業者が多く、直営の専門業者もあれば数次下請に入る事業者もあるため一律には語れませんが、価格転嫁力の弱い下請・孫請の比率が高い点が倒産の集中する一因と見られます。元請の立場からは、協力会社の経営状態を把握しておくことがリスク管理につながります。
業種別 倒産件数(2024年)
出典:帝国データバンク「建設業」倒産動向調査(2024年)
2024年は物価高・人手不足倒産が高止まりしています
2024年の倒産原因を見ると、物価高倒産が250件(全体の13%)、ゼロゼロ融資後倒産が143件、人手不足倒産が99件で、これら3要因の合計は492件(全体の約26%)です。2025年も物価高倒産240件・人手不足倒産113件と 2 要因の高止まりが続いています(帝国データバンク調べ)。従来型の販売不振・放漫経営等が依然として多数を占めますが、資材コストの上昇を受注単価に転嫁できない「コスト倒産」と、職人が確保できずに工期遅延・受注辞退に追い込まれる「人手不足倒産」の比率が高い点が特徴的です。受注時の原価管理と人員計画の精度が、倒産リスクの分水嶺になります。
倒産原因別 内訳(2024年)
出典:帝国データバンク「建設業」倒産動向調査(2024年)
2024年は倒産の92%が従業員10人未満の小規模事業者です
2024年の従業員規模別内訳を見ると、10人未満が1,742件(約92%)と圧倒的多数を占めます。10〜50人未満が143件(約7.6%)、50人以上はわずか5件(約0.3%)です。小規模事業者ほど価格転嫁力が弱く、1現場の赤字が即座に資金繰りを圧迫する構造があります。元請の立場からは、協力会社の財務健全性チェック(決算書の確認、支払いサイトの短縮)がリスク管理の起点になります。
従業員規模別 倒産件数
※ 構成比は四捨五入のため合計が100%と一致しない場合があります。
出典:帝国データバンク「建設業」倒産動向調査(2024年)
倒産の92%が10人未満に集中する一方、資本金1千万円未満の営業利益率は0.7%です
倒産件数の内訳と収益性を重ねると、なぜ小規模事業者に倒産が集中するのかが数字で見えます。財務省「法人企業統計調査」(年次別調査)の2024年度で、建設業の売上高営業利益率は資本金10億円以上6.1%、1億円以上10億円未満6.5%、1千万円以上1億円未満4.7%に対し、1千万円未満は0.7%です。この階級には期中平均従業員数123.0万人・売上32.9兆円が属します。さらに自己資本比率も1千万円未満だけが23.2%で、他の3階級の44.7%〜48.9%を大きく下回ります。利益が薄いうえに自己資本も薄いため、1件の焦げ付きや工期延伸が資金繰りに直結します。倒産の92%が従業員10人未満に集中している構造は、この収益性と財務体力の差から説明できます。
建設業 売上高営業利益率(資本金階級別)
※ 階級区分は資本金であり、売上規模でも従業員数でもありません。売上10億円でも資本金500万円の会社は「1千万円未満」に入ります。調査対象は営利法人で、個人事業主・一人親方は含みません。
出典:法人企業統計調査(年次別調査・財務省、2024年度)
建設業の営業利益率は2010年度の1.4%から4.5%まで回復しましたが、全産業には届いていません
建設業の売上高営業利益率は2010年度・2011年度の1.4%を底に、2024年度は4.5%まで回復しました。ただし同じ期間に全産業(除く金融保険業)も2.8%から5.0%へ上がっており、建設業だけに起きた現象ではありません。2024年度は営業利益率で0.5ポイント、経常利益率では1.4ポイント(5.4%対6.8%)全産業を下回ります。もっとも、常に劣後してきたわけではなく、2016年度・2019年度・2020年度・2021年度は建設業が全産業を上回りました。差が再び開いたのは2023年度以降です。倒産件数が2022年から4年連続で増えている局面と、業界平均の利益率が改善している局面が同時に起きている点に注意が必要です。平均が上がっても、その恩恵が届いていない階級があります。
売上高営業利益率の推移(建設業 × 全産業)
※ 全産業は金融業・保険業を除く。年度は4月から翌年3月。同じ調査の四半期別では建設業は1〜3月に完成工事が集中して季節変動が大きいため、年度で比較しています。
出典:法人企業統計調査(年次別調査・財務省)
資材コストの上昇と倒産件数の増加が並行して推移しています
建設工事費デフレーター(建設総合指数)と倒産件数を重ねると、2021年以降のコスト急騰と倒産増加が並行して推移していることが見えます。デフレーター(建設総合)が2021年12月の106.0から2025年12月の122.6へ+16%上昇する中、倒産件数は1,066件から2,021件へほぼ倍増しました。因果の立証は困難ですが、工事費上昇を受注単価に転嫁できない事業者が淘汰されている構造が示唆されます。見積り段階でスライド条項(資材価格変動に応じた単価改定条件)を契約に盛り込むことが倒産リスクを下げる手段ですが、公共工事標準約款には定められているものの民間工事では当事者間の合意が前提となる点に注意が必要です。
倒産件数 × 建設工事費デフレーター
※ 左軸(棒グラフ)が倒産件数、右軸(折れ線)が建設工事費デフレーター(建設総合・2020年度=100)。年次データのため、デフレーターは各年12月時点の値を使用。
出典:帝国データバンク / 建設工事費デフレーター(建設総合・国土交通省)
就業者減少と倒産増加が並行し、「縮小と淘汰」が同時進行しています
建設業の就業者数(年平均)は2020年494万人から2024年477万人へ約17万人減り、2025年は477.8万人とほぼ横ばいでした。一方で倒産は2020年の1,266件から2025年の2,021件へ約1.6倍に増えています。就業者が減るということは1人あたり仕事量が増えるか仕事そのものが減るかのどちらかですが、2024年平均の有効求人倍率は建設躯体工事8.76倍・土木6.09倍・建築/土木/測量技術者5.60倍と職種別に高止まりしている(厚労省「一般職業紹介状況」)ことから、「仕事はあるが人がいない」状態と読み取れます。人員を確保できた企業に仕事が集中し、確保できない企業が淘汰される二極化が進んでいます。
倒産件数 × 建設業就業者数
※ 左軸(棒グラフ)が倒産件数、右軸(折れ線)が建設業就業者数(万人、年平均)。
出典:帝国データバンク / 労働力調査(総務省) / 一般職業紹介状況(厚生労働省)
名目の受注額が横ばいのまま、倒産は増加しています
建設工事受注動態統計(国土交通省)の月次データを 2021 年 4 月から 2024 年 3 月まで月別に比較すると、同じ月の受注額(総合計・名目)はおおむね横ばいで推移しています(例:4 月比 2021 年 8.65 兆円・2022 年 8.95 兆円・2023 年 8.34 兆円/3 月比 2022 年 13.77 兆円・2023 年 13.98 兆円・2024 年 13.83 兆円)。同期間に倒産件数は 1,066 件から 1,890 件へ約 1.8 倍に増加しました。名目受注額がコスト上昇に追いついていない(=実質工事量が横ばい〜減少)ため、売上が変わらずコストが上がれば利益が消失します。この構造は下請け・孫請けほど深刻で、元請からの発注単価がコスト上昇に見合っているかを、自社・協力会社の両面で確認する必要があります。
建設工事受注額 × 倒産件数
※ 左軸(折れ線)が受注額(兆円、年合計)、右軸(棒グラフ)が倒産件数。受注額は月次を合計した年計・名目値。2024 年は 3 月まで。⚠️ 元データの建設工事受注動態統計(e-Stat)は統計表が廃止され、2024年4月以降を取得できていません。出来高ベースの後継指標(建設総合統計)は /data/construction-cost の「建設投資額(出来高)の推移」でご確認いただけます。
出典:建設工事受注動態統計調査(国土交通省・名目値) / 帝国データバンク「建設業」倒産動向調査
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