データで見る建設業の人材
労働力調査・設計労務単価・労災統計のデータから、建設業の人材・安全の現状を整理しています。
最終更新:2026年3月
建設業就業者数
487万人
-1.6%
労働力調査(総務省)(2026-01)
建設業就業者(前年同月比)
487万人
+6.6%
労働力調査(総務省)(2026-01)
製造業 ÷ 建設業
1 : 2.1
労働力調査(総務省)(2026-01)
建設業の割合(全産業比)
7.2%
労働力調査(総務省)(2026-01)
建設業 月間給与
81.0万円
毎月勤労統計調査(厚生労働省)(2025-12)
建設業賃金(前年同月比)
81.0万円
+4.1%
毎月勤労統計調査(厚生労働省)(2025-12)
設計労務単価(2026年度)
25,834円/日
+4.0%
公共工事設計労務単価(国土交通省)(2026年度)
建設業 労災死亡(2024年)
232人
+4.0%
建設業労働災害防止協会(建災防)/ 厚生労働省
建設業の就業者数は2018年以降の減少基調が続いています
総務省の労働力調査によると、建設業の就業者数は2016年の約492万人から2024年の約477万人へ、2018年以降の減少基調が続いています(本サイト掲載データは2016年以降の月次値)。長期時系列で見たピーク(1997年の約685万人、労働力調査 長期時系列表)と比較すると約3割減で、背景には1990年代に入職した世代が高齢化し大量退職期を迎えていること、若年入職者の建設業離れ(全産業比で29歳以下の比率が低い)、週休2日制の導入遅れなど労働条件面での他産業との差があります。人員の確保が今後さらに困難になる前提で、省人化技術(ICT施工・プレカット・BIM)への投資優先度を判断する材料になります。
建設業就業者数の推移
出典:労働力調査(総務省、月次)/ 労働力調査 長期時系列表(総務省)
建設業は製造業の半分以下の規模で推移しています
建設業と製造業の就業者数を比較すると、建設業は製造業のおおむね 45.6〜47.4% の規模で推移しています。2016 年の建設業 492 万人・製造業 1,041 万人(差 548 万人)から、2024 年は建設業 477 万人・製造業 1,046 万人(差 569 万人)と、絶対数の差はやや拡大方向です。産業間の人材獲得競争は激しく、製造業の工場自動化が進むほど、手仕事の多い建設業との労働環境の差が採用面で不利に働きます。採用で製造業と直接競合する地方では、給与だけでなく年間休日数や空調付き休憩所の整備、ICT による現場負担の軽減など、労働環境面での訴求が採用戦略のカギになります。同じ人件費を使うなら製造業の採用広告と同等の月給制・年間休日 120 日水準に届かせるかどうかが分水嶺です。
建設業 × 製造業 就業者数比較
出典:労働力調査(総務省)
建設業の就業者数には季節変動があります
月次データを見ると、建設業の就業者数には季節的な変動パターンがあります。冬季(1〜2月)の減少は、降雪地域での屋外工事の休工やコンクリート打設の温度制限が要因です。春季の回復は新年度の公共工事発注開始と重なります。繁忙期前の人員確保と閑散期の稼働率維持は、工程管理と原価管理の両面で経営に影響します。
建設業就業者数の月次変動
出典:労働力調査(総務省)
建設業の賃金は全産業平均を上回って推移しています
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、建設業の月間現金給与総額は全産業平均を一貫して上回っています。人手不足を背景に、建設業の賃金上昇率は他産業と比べても高い水準にあります。賃金上昇は人材確保に必要なコストですが、受注単価への転嫁が追いつかなければ利益を圧迫するため、労務費の推移を受注戦略と連動させて把握することが重要です。
建設業の月間現金給与総額
出典:毎月勤労統計調査(厚生労働省)
建設業の賃金は製造業を上回る月が続いています
建設業と製造業の賃金を比較すると、建設業が製造業を上回る月が多くなっています。特にボーナス月を除く通常月では、建設業の給与優位が明確です。一方で、両者の年平均差は2022年の約4.3万円から2025年の約3.2万円へ縮小しており、製造業側の賃上げも進んでいます。賃金水準だけで人材が集まるとは限りません。求人票で「日給月給」表記が多い建設業と「月給制」の製造業では、見た目の年収が同じでも応募者の印象が異なります。月給制への移行や年間休日120日の確保が、賃金水準以上に採用力を左右する要素です。
建設業 × 製造業 賃金比較
出典:毎月勤労統計調査(厚生労働省)
賃金は約10%上昇しましたが、就業者数はほぼ横ばいです
12 ヶ月移動平均で見ると、建設業の月間現金給与総額は 2022 年初の約 41.7 万円から 2025 年末の約 46.1 万円へ約 10% 上昇しています。一方、就業者数は 2022 年平均 478.8 万人から 2025 年平均 477.8 万人でほぼ横ばいです。賃金を上げても就業者が増えないという構造は、賃金以外の要因—労働環境、休日数、業界イメージ—が人材確保の壁になっている可能性を示唆しています。賃上げだけでは人材確保に限界があるなら、ICT 化・省人化投資や働き方改革への予算配分を検討する判断材料になります。
建設業 賃金 × 就業者数
建設業の賃金(実線)× 就業者数(破線)— 12ヶ月移動平均
※ 12ヶ月移動平均でボーナス月の変動を除去しています。左軸(実線)が月間現金給与総額(円)、右軸(破線)が就業者数(万人)です。
出典:毎月勤労統計調査(厚生労働省) / 労働力調査(総務省)
公共工事設計労務単価は14年連続で上昇し、25,834円に達しています
国土交通省が毎年 2 月に公表する公共工事設計労務単価(全職種加重平均)は、2013 年度に法定福利費相当額の反映などで 13,072 円→15,175 円の約 +16.1% 改定を経て、14 年連続で上昇しています。2012 年度の 13,072 円から 2026 年度の 25,834 円へと約 2 倍(+97.6%)になりました。設計労務単価は公共工事の予定価格の基礎であり、これが上がれば公共工事の発注単価も連動して上がります。民間工事でも公共工事の単価が交渉のベンチマークになるため、「設計労務単価が上がっている=下請への値上げ要求に根拠がある」という交渉材料として活用できます。ただし実際の支払い賃金が設計労務単価に追いついていないケースも多く、元請・下請間の適正な賃金配分が課題です。
公共工事設計労務単価の推移
※ 全国全職種加重平均値(ラスパイレス式)。2013年度に法定福利費相当額の反映等の算出方法変更あり。
出典:公共工事設計労務単価(国土交通省)
建設業の労災死亡者数は34年で約8割減少しましたが、全産業の約3割を占めています
建設業労働災害防止協会(建災防)のデータによると、建設業の労災死亡者数は 1990 年の 1,075 人から 2024 年の 232 人へと 34 年で約 8 割減少しました。安全管理の進歩、規制強化、安全教育の浸透が大きいですが、それでも全産業の死亡者 746 人のうち約 31% を建設業が占めており、業種別では最多です。墜落・転落が死亡原因の最多を占めるため、足場・安全帯(フルハーネス)の徹底、高所作業車の活用が安全投資の基礎です。2024 年は 232 人と前年比 -17.4% と減少しましたが、一時的な改善か構造的な改善かは今後のデータで見極める必要があります。労災の増減は労災保険料率(建設業 9.5/1000〜)や元請選定時の評価にも直結するため、安全投資は採用競争力と同様に経営指標として扱う価値があります。
建設業 労災死亡者数の推移
※ 死亡者数は暦年の確定値。全産業には建設業を含む。
出典:建設業労働災害防止協会(建災防)/ 厚生労働省
死亡者数の絶対数は大幅に減少していますが、就業者減少の影響も含まれます
建設業の死亡者数は1990年の1,075人から2024年の232人へ約8割減少しました。ただし同期間に就業者数も減少しており、死亡者数と就業者数を重ねることで、「人が減ったから事故も減った」面と「安全管理が向上した」面の両方が見えます。絶対数の大幅な減少は安全管理の進歩を示していますが、人手不足が深刻化する中、経験の浅い作業員が増えれば死亡率が再び上昇するリスクがあり、安全教育への投資は減らせません。
労災死亡者数 × 建設業就業者数
※ 左軸(折れ線)が死亡者数(人)、右軸(破線)が建設業就業者数(万人)。就業者数は年平均。
出典:建設業労働災害防止協会(建災防)/ 労働力調査(総務省)
設計労務単価の上昇に対し、実際の賃金上昇は緩やかです
公共工事設計労務単価(全職種加重平均)と毎月勤労統計の建設業月間賃金を重ねると、大きなギャップが見えます。設計労務単価は2012年の13,072円から2026年の25,834円へ約2倍になりましたが、実際の月間現金給与総額の上昇率はそこまで大きくありません。この差は「設計労務単価の引き上げが現場の職人まで届いていない」ことを示唆しています。元請が適正な設計労務単価で受注しても、下請・孫請への支払いに反映されなければ現場の処遇改善にはつながりません。国交省が推進する「適正な賃金行き渡り」施策の実効性を、このギャップの縮小で測ることができます。
設計労務単価 × 実際の賃金
※ 左軸(折れ線)が設計労務単価(円/日)、右軸(破線)が建設業月間現金給与総額の12ヶ月移動平均(万円)。期間が重複する年のみ表示。設計労務単価は2012〜2026年度、実賃金は2016年以降のデータです。期間が異なるため上昇率の直接比較はできません。
出典:公共工事設計労務単価(国土交通省) / 毎月勤労統計調査(厚生労働省)
1人あたり受注額は増えていますが、利益率は改善していません
建設工事受注額(年合計)を建設業就業者数(年平均)で割った「1人あたり受注額」は、受注額の増加と就業者の減少により名目ベースでは上昇傾向にあります。一見すると生産性が向上しているように見えますが、これは名目値の動きであり、工事費全体の指数(デフレーター)が2015年度比で約34%上昇していることを考慮すると、実質ベース(デフレーター調整後)の1人あたり受注額はほぼ横ばいです。「1人あたりの売上は増えたが手取りは変わらない」——これがインフレ下の建設業の実態です。
1人あたり建設工事受注額の推移
※ 受注額は月次データの年合計(百万円→億円換算)。就業者数は月次データの年平均(万人)。1人あたり受注額=年合計受注額÷年平均就業者数。
出典:建設工事受注動態統計調査(国土交通省) / 労働力調査(総務省)
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