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建設業の利益率は2024年度で営業4.5%・経常5.4%|資本金階級別は0.7%〜6.5%

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建設業の利益率は2024年度で営業4.5%・経常5.4%|資本金階級別は0.7%〜6.5%

この記事でわかること

建設業の売上高営業利益率は2024年度で4.5%、売上高経常利益率は5.4%です(財務省「法人企業統計調査」年次別調査、2025年9月公表値、財務省公式サイト)。同じ年度の全産業(除く金融保険業)は5.0%・6.8%で、建設業はどちらも下回ります。ネット上で「25%」「約22%」「18〜25%」と数字が割れるのは粗利率と営業利益率という別の指標を混ぜているためで、資本金階級で分けると営業利益率は1億円以上10億円未満の6.5%から1千万円未満の0.7%まで開きます。

主要データ

  • 建設業 全規模の売上高営業利益率は4.5%、売上高経常利益率は5.4%(2024年度、財務省「法人企業統計調査」年次別調査)
  • 全産業(除く金融保険業)は営業5.0%・経常6.8%。2024年度の建設業は営業で0.5ポイント、経常で1.4ポイント下(同調査)
  • 資本金階級別の営業利益率は、10億円以上6.1%/1億円以上10億円未満6.5%/1千万円以上1億円未満4.7%/1千万円未満0.7%(同調査、2024年度)
  • 2015年度から2024年度で、1億円以上10億円未満は4.4%→6.5%と2.1ポイント改善。10億円以上は6.2%→6.1%とほぼ横ばい、1千万円未満は1.9%→0.7%と1.2ポイント低下(同調査)
  • 1千万円未満の自己資本比率は23.2%。他の3階級は44.7%〜48.9%(同調査、2024年度)

建設業の利益率は2024年度で営業4.5%・経常5.4%

まず数字から出します。財務省「法人企業統計調査」(年次別調査)の2024年度、建設業の売上高営業利益率は4.5%、売上高経常利益率は5.4%でした(財務省公式サイトより取得、https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/index.htm)。母数となる売上高は154.3兆円、期中平均従業員数は380.1万人です。

比較対象として全産業(除く金融保険業)を並べると、営業利益率5.0%、経常利益率6.8%。2024年度の建設業は営業で0.5ポイント、経常で1.4ポイント下回っています。

ただし、建設業が常に全産業を下回ってきたわけではありません。同じ系列を2010年度までさかのぼると、営業利益率で建設業が全産業を上回った年度が2016年度・2019年度・2020年度・2021年度の4回あります。差が再び開いたのは2023年度以降です。少なくとも2010年度から2024年度の売上高営業利益率を見る限り、建設業が常に全産業を下回る、という説明は正確ではありません。

経常段階で差が広がる理由についても、範囲を限って書きます。営業利益率から経常利益率への押し上げ幅は、建設業が+0.9ポイント、全産業が+1.8ポイントです。営業外損益の寄与が全産業より小さい、というところまでは言えます。その中身が受取利息・配当なのか支払利息なのかは、この統計だけでは分解できません。

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長い目で見れば改善しています。建設業の営業利益率は2010年度1.4%、2011年度も1.4%で、2010年代前半は低い水準にありました。2024年度の4.5%はそこから3.1ポイントの改善です。同じ期間に全産業も2.8%から5.0%へ2.2ポイント上がっているので、建設業だけに起きた特殊な現象ではありません。全産業の利益率が改善する流れの中で、建設業の回復幅がそれより大きかった、というのが公平な読み方です。

「粗利率25%」という通説を自社に当てはめる前に

検索すると「建設業の粗利率の目安は25%」「平均は約22%」「18〜25%程度」といった数字が並びます。どれかが嘘というより、比べているものが違います。

法人企業統計の2024年度データから売上高と売上原価で粗利率を計算すると、建設業 全規模は23.7%です(粗利率は同調査の公表項目ではないため、売上高と売上原価から編集部が算出しています)。通説の幅にはおおむね収まります。問題はここから先です。

同じ計算を資本金階級別にやると、粗利率は次のように出ます(いずれも編集部試算、財務省「法人企業統計調査」2024年度をもとに算出)。

  • 資本金10億円以上:14.1%
  • 資本金1億円以上10億円未満:16.7%
  • 資本金1千万円以上1億円未満:22.6%
  • 資本金1千万円未満:40.8%

粗利率だけ見ると、一番小さい会社が一番儲かっているように見えます。実際は逆です。同じ階級の営業利益率は0.7%しかありません。販売費及び一般管理費が売上の40.1%を占めているからです(編集部試算)。

この差が何から来ているのかは、法人企業統計だけでは特定できません。建設業会計では、現場の労務費や外注費は通常、完成工事原価の側に入ります。販管費に入るのは本社・営業・一般管理部門の費用です。同じ統計から施工形態別・工種別の内訳は取れないため、「小規模は自社施工だから」といった説明は、このデータからは裏付けられません。

考えられる要因としては、役員報酬など固定的な間接費が売上に対して重いこと、兼業収入や小口工事の混在、標本設計上の振れ、原価と販管費の配賦実務の会社ごとの差などが挙げられます。いずれもこの統計では切り分けられません。

実務上の結論だけは、はっきりしています。粗利率の水準は、編集部試算では資本金階級によって14.1%から40.8%まで開きます。他社や業界平均の粗利率と自社の粗利率を並べても比較になりません。同業と比べるなら、営業利益率と販管費率をセットで見たほうが実態に近づきます。

資本金階級別に見ると、6.5%と0.7%が同じ「建設業」に同居している

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上の横棒が2024年度の資本金階級別の営業利益率です。売上高と従業員数を添えて並べ直すと、次のようになります。

  • 資本金10億円以上:6.1%(売上36.9兆円・従業員40.1万人)
  • 資本金1億円以上10億円未満:6.5%(売上20.6兆円・従業員37.7万人)
  • 資本金1千万円以上1億円未満:4.7%(売上63.8兆円・従業員179.3万人)
  • 資本金1千万円未満:0.7%(売上32.9兆円・従業員123.0万人)

2024年度に最も高いのは、スーパーゼネコンを含む10億円以上ではなく、その下の1億円以上10億円未満(6.5%)です。ただしこれは全期間で一貫した序列ではありません。2013年度から2020年度までは10億円以上が単独で最上位でした。2011年度は10億円以上と1億円以上10億円未満が同率、2012年度と2021年度以降は1億円以上10億円未満が最上位です。

そして1千万円未満の0.7%。この階級には期中平均従業員数123.0万人が属します。法人企業統計で見る建設業法人の従業員380.1万人に対して32.4%、売上シェアは21.4%です(いずれも同調査の売上高・期中平均従業員数から編集部試算)。

ここで母集団に注意が要ります。法人企業統計の期中平均従業員数380.1万人は、営利法人の従業員(常用者と臨時従業員の常用者換算。役員は別項目)を数えたものです。総務省「労働力調査」の建設業就業者は2024年平均で477万人、この記事と同じ2024年度で見ると473.8万人です(年度平均は同調査の月次公表値から編集部が算出)。こちらは自営業主・家族従業者・役員も含みます。母集団も数え方も違うので、両者の差をそのまま個人事業主・一人親方の人数と読むことはできません。この記事で言えるのは「建設業で働く人の3人に1人」ではなく、「法人企業統計に載る建設業法人の従業員の3人に1人」が営業利益率1%未満の階級に属している、というところまでです。

この10年で伸びた階級と、置いていかれた階級

2015年度と2024年度の営業利益率を並べると、階級ごとの動きが分かれます。

  • 資本金10億円以上:6.2% → 6.1%(ほぼ横ばい)
  • 資本金1億円以上10億円未満:4.4% → 6.5%(+2.1ポイント)
  • 資本金1千万円以上1億円未満:3.3% → 4.7%(+1.4ポイント)
  • 資本金1千万円未満:1.9% → 0.7%(−1.2ポイント)

最大手は9年間ほぼ横ばいです。伸びたのは中堅と、その下の階級。落ちたのは最小階級だけでした。「建設業全体の利益率が改善した」という話は、この階級には当てはまりません。

1千万円未満の内訳を年度で追うと、2019年度2.5%、2021年度0.4%、2022年度1.7%、2023年度2.1%、2024年度0.7%です。抽出調査に基づく階層別推計で単年の振れが出やすい数字なので、特定の年度だけを基準に評価するのは危険です。ただ2024年度の0.7%は2019年度も2023年度も下回っており、足元で再び弱い数字になったことは確認できます。

資材高騰と労務単価上昇を受注価格に乗せられたかどうかが、この差の一部を説明します。公共工事設計労務単価は令和8年度に加重平均25,834円まで上がり14年連続の上昇となりました。単価が上がるのは技能者にとっては前進ですが、受注価格に転嫁できない下請には原価増としてだけ効きます。

利益が薄い階級は、自己資本も薄い

2024年度の自己資本比率は、10億円以上44.7%、1億円以上10億円未満48.9%、1千万円以上1億円未満46.6%に対し、1千万円未満は23.2%です。

利益率が低いだけなら1年の我慢で済みます。自己資本が薄いと、そこに1件の焦げ付きや工期延伸が重なった時点で資金が尽きます。建設業の倒産は2025年に2,021件と12年ぶりに2,000件を超え、休廃業・解散と合わせると年間1.2万社が退出しています。倒産の件数より、退出の総量で見たほうが実態に近い領域です。

従業員一人当たり付加価値も並べておきます。10億円以上1,748万円、1億円以上10億円未満1,107万円、1千万円以上1億円未満834万円、1千万円未満749万円。人を採る力の差がそのまま出ます。55歳以上36.7%・29歳以下11.7%という建設業の人手不足の深刻さが階級によって違うのは、この付加価値の差が原資の差になるからです。

失敗しがちな読み方:単年・単一指標で自社を評価する

この種のデータでよくある失敗を挙げます。ある工務店が「業界平均は4.5%らしいので、うちの3%は少し低い程度」と判断したケースです。その会社は資本金800万円でした。比べるべき相手は全規模の4.5%ではなく、同じ階級の0.7%です。実際には階級の水準を大きく上回っていたのに、自社を過小評価して値下げ受注に踏み込んでしまいました。

逆のパターンもあります。粗利率30%を根拠に「うちは平均以上」と判断したものの、販管費率が28%あって営業利益は2%しか残っていなかった、という読み違いです。粗利率の通説をそのまま当てるとこうなります。

比べるときの順番は決まっています。まず自社の資本金階級を確認する。次に粗利率ではなく営業利益率で比べる。そのうえで単年ではなく3〜5期の推移で見る。この3つを外すと、数字はいくらでも都合よく読めてしまいます。

経営判断への翻訳

明日から動ける粒度に落とすと、次の3つです。

1. 直近3〜5期の営業利益率を、自社の推移で並べる。他社比較や業界平均より先に、自社の時系列を見ます。全規模平均の4.5%は母数の大きい中堅層に引っ張られた数字で、資本金1千万円未満の会社の目標値としては高すぎます。参照するなら自社の階級の水準(1千万円未満なら0.7%、1千万円以上1億円未満なら4.7%)です。

2. 案件別に、材料費・外注費・労務費・現場経費・本社配賦後の利益まで分ける。粗利率で止めると、この記事で見たとおり編集部試算で14.1%から40.8%まで開く指標を眺めるだけで終わります。本社配賦後まで見て初めて、どの案件が実際に稼いでいるかが出ます。

3. 営業利益率が1%を割っているなら、低粗利案件の受注停止・見積単価の改定・固定的な販管費の棚卸しを同時に着手する。2015年度から2024年度にかけて、1千万円未満以外の階級はほぼ横ばいか改善でした。ただし階級ごとに元請比率・案件規模・工種・地域構成が違うので、差のすべてを市場環境以外の要因と決めつけることはできません。受注環境に加えて、元請比率・案件単価・間接費の重さを分解して見ると打ち手が絞れます。

増資は、自己資本を厚くして資金繰りの耐久力を上げる選択肢の一つです。ただし経営事項審査や入札参加資格への影響は個社の条件で変わるため、本記事では制度上の有利不利を判定しません。実行前に税理士・金融機関・行政書士などに確認してください。

建設工事費デフレーターとの関係も合わせて見ると、コスト上昇局面で利益が出ない構造がより具体的に見えます。デフレーターが132を超えても利益が出ない理由を別記事で整理しています。

データの見方と限界

最後に、この記事で使ったデータの制約を明示します。

法人企業統計調査の階級区分は資本金であって、売上規模でも従業員数でもありません。売上10億円でも資本金500万円の会社は「1千万円未満」に入ります。自社を当てはめるときは資本金で見てください。

調査対象は営利法人です。個人事業主・一人親方は含まれません。建設業就業者全体を語る統計ではない点は、前述のとおりです。

また、この統計は建設業を1つのくくりで扱っており、建築と土木、元請と下請の区分は取れません。同じ資本金階級でも、公共土木の元請と住宅の下請では収益構造がまったく違います。階級別の数字は「自社がどのあたりにいるか」の当たりをつけるためのもので、個別判断は自社の案件別原価と資金繰り表で確認します。

年度は4月から翌年3月です。2024年度は2024年4月から2025年3月を指します。なお同じ調査の四半期別データでは、建設業は1〜3月に完成工事が集中するため季節変動が大きく、単一四半期の利益率を「建設業の利益率」として引用すると実態から離れます。年度データで比較します。

出典:各省庁公式データ。最終更新日を必ずご確認ください。
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