データで見るインフラ老朽化
国土交通省のデータから、橋梁・トンネル・水道管等の老朽化の現状と将来予測を可視化しています。
最終更新:2026年3月
道路橋の老朽化率(2023年)
37%
要対策の橋梁(2巡目)
5.6万橋
予防保全のコスト削減
約90兆円
技術職員ゼロの自治体
25%
2040年には道路橋の75%が建設後50年を超えます
高度経済成長期に集中整備された社会資本が一斉に老朽化を迎えています。道路橋は2023年時点で37%が建設後50年超ですが、2040年には75%に達します。河川管理施設は22%から65%へ、港湾施設は27%から68%へ、そして水道管路は9%から41%(約4.5倍)、下水道管渠は7%から34%(約5倍)と、伸び率の大きさで見ると水道・下水道が突出しています。インフラ更新の需要は今後15年で急増し、建設業の受注構成が新設中心から維持・更新中心に移行します。
インフラ老朽化率(施設種別)
※ 建設年度不明の施設は割合計算から除外。立地環境や維持管理状況によって実際の劣化度は異なります。2030年・2040年は国土交通省の推計値です。
出典:国土交通省 インフラメンテナンス情報(2023年3月時点)
点検の結果、要対策の橋梁は5.6万橋に減少しました
2019〜2023 年度の 2 巡目点検が完了し、判定区分 III(早期措置)・IV(緊急措置)の橋梁は 1 巡目の 6.9 万橋から 5.6 万橋に減少しました。国土交通省は 2014 年の点検義務化以降に進んだ予防保全型の修繕事業の成果と位置づけていますが、自然な劣化進行の差や点検手法の変更など複数要因が重なっており、単一原因への帰属は慎重に扱うべきです。一方で建設後 50 年超の橋梁は 1 巡目終了時の約 13 万橋から 2 巡目終了時の約 21 万橋に増加しており、既に対策済み橋梁の再劣化と新規の 50 年超流入が重なる 3 巡目以降では、再び要対策数が増える可能性があります。1 巡目の要対策 6.9 万橋に対する修繕措置着手率は 2025 年 3 月時点で約 83%(都道府県・政令市等)、完了率は 67%(全体)と国交省が公表しています。未着手・継続対応分は今後の発注母数として継続する見込みで、インフラ補修・補強の技術を持つ企業にとっては需要が継続しやすい領域として検討対象になります。
橋梁点検と修繕の実績
※ 修繕完了率 67% は 1 巡目要対策 6.9 万橋に対する国交省公表値。2 巡目の要対策 5.6 万橋にはまだ措置完了率の公表がないため、「2 巡目 × (1-67%)」という単純計算は行っていません。
出典:国土交通省 道路メンテナンス年報(令和 5 年度・2 巡目完了)
予防保全で30年間のコストを約90兆円削減できます
国交省の試算(2018 年)によると、2018〜2048 年の 30 年間のインフラ維持管理・更新費は、壊れてから直す「事後保全」では約 280 兆円、壊れる前に直す「予防保全」では約 190 兆円で、約 90 兆円(約 32%)の削減が可能です。予防保全型の受注を獲得するには、橋梁点検資格(道路橋点検技術者等)の取得、非破壊検査技術の導入、包括管理契約への提案力が必要になります。新設工事の減少を補う事業の柱として、維持・補修分野への参入を計画的に進める判断材料になります。
事後保全 vs 予防保全 30年コスト
出典:国土交通省「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」(2018年)
自治体の技術職員は13%減少し、4団体に1団体がゼロです
2005〜2024 年に市区町村の土木部門職員は 13% 減少しました。技術職員 5 人以下の市区町村は全体の約 50%、ゼロの団体は 25% に達します。自治体土木費は 1993 年のピーク時 11.5 兆円から 2011 年に約 6 兆円へ半減し、直近公表値は 2021 年で 6.5 兆円です(総務省 地方財政統計年報)。自治体の発注能力が低下する中、民間企業の提案力・包括管理能力が差別化要因になります。
自治体の土木職員と土木費の推移
出典:総務省 地方公共団体定員管理調査 / 総務省 地方財政統計年報 / 国土交通省 社会資本整備審議会 資料
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