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公共工事設計労務単価2026|単純平均+4.5%・加重平均25,834円、14年連続上昇の改定値

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公共工事設計労務単価2026|単純平均+4.5%・加重平均25,834円、14年連続上昇の改定値

この記事でわかること

国土交通省が2026年3月1日から適用する公共工事設計労務単価は、全国全職種で前年比+4.5%の引き上げ(単純平均、国交省公表値)となりました。全国全職種加重平均額は25,834円/日で、平成25年度改定から14年連続の上昇です。本記事は2026年度改定の数値・上昇率・適用運用・自社見積もりへの反映実務を、2026年5月時点の国土交通省公表情報をもとに整理します。

主要データ

  • 公式改定率: 全国全職種で前年比+4.5%(単純平均、国交省 報道発表公表資料PDF
  • 全国全職種加重平均額: 25,834円/日(2025年24,852円 → 2026年25,834円、編集部試算で加重平均額ベースの差分は+3.95%)
  • 14年連続の上昇(平成25年度改定から、国交省公表)
  • 平成24年(H24)比 +94.1%(単純平均ベース、国交省公表値)。なお加重平均額の単純比較では13,072円→25,834円で+97.6%(編集部試算)
  • 調査対象: 全国・全職種51職種、2025年10月実施の公共工事労務費調査
  • 適用開始: 関東地方整備局など国交省直轄の運用例では、2026年3月1日以降に入札書提出期限日が設定される工事から新単価で積算(既設定案件は変更協議の対象になり得る、関東地方整備局運用資料

労務単価の長期トレンド・実勢単価との差・地域別の動きは姉妹記事「公共工事設計労務単価|10年で2.4倍、25,834円時代の経営判断」を参照してください。本記事は2026年度改定値の解説と実務対応にフォーカスします。

2026年度改定の全体像:単純平均+4.5%で14年連続更新

2026年3月1日から適用される公共工事設計労務単価は、国土交通省公表で全国全職種が単純平均+4.5%の引き上げです。前年改定(令和7年3月適用、+6.0%)よりも改定幅は縮小していますが、平成25年度改定から14年連続の上昇トレンドが継続しています(国交省 報道発表)。

金額ベースで見ると、全国全職種加重平均額は2025年の24,852円/日から2026年の25,834円/日まで982円増えています。加重平均額の単純比較では+3.95%、これに対し国交省が公表する改定率は単純平均ベースで+4.5%です。両者は計算方法が違うため、契約交渉や予算策定で参照する場合は使い分けが必要です。

長期では、平成24年(13,072円)と比較すると国交省公表で+94.1%(単純平均ベース)、加重平均額の単純比較では+97.6%(編集部試算)と、リーマンショック後の底値からほぼ倍増の水準まで切り上がっています。公共工事の人件費構造そのものが構造的に変わったことを示します。

データで見る

公共工事設計労務単価の推移

上昇率の背景:資材高騰・人手不足・働き方改革の3要因

労務単価の連続上昇は、3つの要因が重なった結果です。

資材価格の高騰。2022年以降の資材インフレで建設工事費全体が押し上げられ、その影響が労務費に波及しています。建設工事費デフレーター(建設総合、2015年度基準)は2026年1月に133.3まで上昇(姉妹記事「建設工事費デフレーター|133.3時代の経営判断」参照)し、資材コスト・労務コスト双方の名目単価押し上げ要因になっています。

建設業の人手不足。建設躯体工事従事者の有効求人倍率は2026年1月で7.48倍(厚生労働省 一般職業紹介状況、全国計、常用パート含む)、建設業就業者数は平成9年の685万人から令和6年の477万人まで約3割減少しました(国土交通省 建設業を巡る現状と課題)。労働市場の需給ギャップが賃金水準を押し上げる構造的圧力になっています(姉妹記事「建設業の人手不足|求人倍率5.64倍・就業者210万人減の構造分析」)。

働き方改革・週休2日制の導入。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(年960時間)が適用され、現場の月稼働日数が制限されました。月給換算の実収入を維持するには日額単価の引き上げが必要となり、設計労務単価も連動して上昇する構造です。

主要職種別の動き

公式改定率は全国全職種で単純平均+4.5%ですが、職種ごとに改定幅は異なります。技能系の職種(とび工、鉄筋工、型枠工、左官、配管工、電工、塗装工、防水工、内装工等)でも改定幅は職種により上下し、平均を超える職種もあれば平均を下回る職種もあります。自社の主力職種が今回の改定でどの程度動いたかを確認するには、国交省の公表資料で個別の職種単価を確認するのが確実です(国交省 公表資料PDF)。

とくに2024年以降は不足感の強い職種で上昇率が大きい傾向があり、自社の職種構成によって改定の影響度は異なります。発注ロット・歩掛・契約単価の見直しでは、自社が稼働する主要職種の改定値を個別に確認するのが現実的です。

適用開始日と契約への影響

関東地方整備局の運用資料では、新単価は2026年3月1日以降に入札書提出期限日が設定される工事から積算に反映されると示されています。2026年2月28日までに入札書提出期限日が設定済みで、3月1日以降に契約となる案件については、受注者からの請求があれば変更協議の対象となる運用です(関東地方整備局運用資料)。他の地方整備局・自治体・発注機関ごとに細かい運用は異なる場合があるため、自社が稼働する発注機関の運用通知を個別に確認します。長期工事・繰越工事は発注者側のスライド条項や変更協議の取り扱いを案件ごとに確認します。

民間工事については公共工事設計労務単価の直接適用義務はありませんが、実勢として民間工事の見積もりや契約交渉でも参考指標として使われています。元請から下請への契約単価交渉、自社の採算ライン算定、応募者へのアピール材料としての賃金提示など、民間文脈でも数値が機能します。

自社見積もり・契約への反映実務

労務単価改定を自社の見積もり・契約・労務費管理にどう落とすか、4つのチェックポイントがあります。

1. 既存契約のスライド条項を確認。長期工事・複数年契約では、設計労務単価改定時にスライド条項が発動するケースがあります。発注者・元請との契約書を確認し、適用条件・申請期限・必要書類を準備します。

2. 進行中の見積もりを再積算。2026年3月1日以降に入札書提出期限日が設定される案件は新単価ベースでの積算が必要です。歩掛・職種構成を見直して、改定後の数値で採算を確認します。

3. 下請契約の単価見直し。協力会社・下請への支払単価が長期固定になっている場合、改定タイミングで見直しの協議を入れます。元請から受け取る労務費が増えても下請への支払いが据え置きでは、ピラミッド構造の中で末端の処遇改善が進みません。

4. 自社の採算ライン再計算。労務単価が単純平均で4.5%上昇すると、固定費比率が高い案件では粗利率が圧迫されます。直近案件の損益を労務単価ベースで再計算し、応札ラインや受注判断基準を更新します。

経営者目線:労務単価上昇とどう向き合うか

労務単価14年連続上昇の局面で経営者が押さえる論点は3つあります。

名目上昇と実質上昇の違いを理解する。+4.5%(単純平均)は名目改定率で、建設工事費デフレーターの伸びや一般物価上昇を差し引くと実質的な賃金上昇幅は小さくなります。「自社の採算をどう維持するか」と「技能者の生活水準をどう守るか」は別問題として扱います。

職種ポートフォリオの見直し。不足感の強い職種ほど上昇率が大きい傾向のため、自社の主力職種の構成を確認し、外注比率・直雇い比率・育成計画を改定の数値ベースで再考します。CCUSのレベル判定で技能者の能力評価を可視化することも判断材料の一つです(CCUSレベル判定|累計144,540件の現在地と経審Z1・W点の効かせ方)。

民間工事への波及対応。公共工事設計労務単価は民間工事に直接適用されませんが、実勢として参考指標として使われます。民間元請からの「公共は上がっているが、民間は据え置きで」という交渉が来た場合、自社の人件費構造を数値で示せる準備が交渉力になります。

So What(経営判断への翻訳)。2026年度+4.5%(単純平均)の改定率は前年(+6.0%)より幅が縮小しましたが、14年連続上昇という構造的トレンドは継続しています。「いつかは上昇が止まる」という前提で経営計画を立てるよりも、編集部見立てとしては、近年の改定率レンジ(+3〜+6%程度)が当面続くシナリオで見積もり・契約・採算管理を再設計する方が現実的です。

まとめ

2026年3月1日から適用される公共工事設計労務単価は、国交省公表で全国全職種が単純平均+4.5%の引き上げ、加重平均額は25,834円/日です。平成25年度改定から14年連続の上昇で、平成24年と比較すると単純平均ベースで+94.1%の水準まで切り上がりました(国交省公表値)。資材高騰・人手不足・働き方改革の3要因が継続する以上、編集部見立てとしては、近年の改定率レンジ(+3〜+6%程度)が当面続くシナリオで、自社の見積もり・契約・採算管理を再設計するのが現実的です。労務単価の長期推移・実勢単価との差・地域別の動きは姉妹記事「公共工事設計労務単価|10年で2.4倍、25,834円時代の経営判断」、人手不足の構造は「建設業の人手不足|求人倍率5.64倍・就業者210万人減の構造分析」、CCUSによる処遇改善連動は「CCUSとは|建設キャリアアップシステム完全ガイド」を参照してください。最新の労務単価データは建設業労務ダッシュボードでも更新しています。

出典:各省庁公式データ。最終更新日を必ずご確認ください。
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