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鉄スクラップ価格の推移2026|輸出と円安が牽引する電炉原料

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鉄スクラップ価格の推移2026|輸出と円安が牽引する電炉原料

この記事でわかること

鉄スクラップは2026年に上昇しました。けん引役は輸出価格と円安で、国内需要が増えたわけではありません。電炉大手の東京製鐵は買値を連続で引き上げました。鉄スクラップは電炉でつくる鋼材(異形棒鋼やH形鋼)の主原料で、その価格は配筋・鉄骨コストの川上にあります。価格の動きと構造要因を、現場と経営の目線で整理します。

主要データ

  • 東京製鐵は2026年に鉄スクラップ購入価格を連続で引き上げ。3月31日に全拠点でトン1,000〜3,500円、4月10日に1,500円、4月16日に500円。一方で5月には一部拠点で値下げもあり、一本調子ではない(出典:日刊鉄鋼新聞、東京製鐵 国内鉄スクラップ購入価格表)
  • 関東鉄源協同組合の輸出入札は2026年1月に関東でトン46,771円(1年半ぶり高値)、2月10日にトン45,688円(H2、FAS)でベトナム向けに約1.5万トンを落札(出典:関東鉄源協同組合、日刊産業新聞)
  • 国内のH2炉前価格は2026年に上昇し、5月末時点の関東はトン5万円台前半とされる(出典:日本鉄リサイクル工業会)。市況は地域・時点で変動するため最新値は同会で要確認
  • 上昇の背景は円安と、カーボンニュートラルに伴う世界的な電炉シフトでの鉄スクラップ「囲い込み」。ただし2026年1〜4月の輸出"量"は前年同期を下回っており、価格を押し上げたのは量ではなく為替と輸出採算(出典:日本経済新聞、日本鉄リサイクル工業会、STEEL STORY JAPAN)

鉄スクラップは、建設の現場から見ると二つの顔があります。ひとつは解体や端材で「売る」もの。もうひとつは、電炉でつくられる鉄筋やH形鋼の「原料」としてコストに跳ね返ってくるものです。その鉄スクラップが、2026年に上がっています。

動かしているのは国内需要ではありません。輸出価格と円安です。構造を押さえると、鋼材コストの先行きが読みやすくなります。順に追います。

本記事の価格情報は参考値です。鉄スクラップの価格は市中相場・メーカー買値・輸出価格で水準が異なり、地域・等級・時期・取引条件によっても変わります。記載の価格・時期は出典時点の公表値であり、最新値は各出典元でご確認ください。

2026年、鉄スクラップは輸出と円安で上昇した

2026年の鉄スクラップは上昇局面に入りました。円安を背景に鉄スクラップが高値をつける構図は報じられており(出典:日本経済新聞)、けん引役は国内の鉄需要ではありません。

注意したいのは、輸出の「量」が増えたわけではない点です。日本鉄リサイクル工業会によれば、2026年1〜4月の輸出量はむしろ前年同期を下回っています。数量増がけん引したのではありません。価格を押し上げた要因としては、円安による輸出採算の改善と海外の引き合いが指摘されています(出典:日本経済新聞、STEEL STORY JAPAN)。為替・輸出単価・国内の発生量を厳密に分解した因果までは断定できませんが、少なくとも国内の数量需要が主役ではないことは押さえておきたいところです。

電炉大手の東京製鐵の買値が分かりやすい指標です。同社は2026年に鉄スクラップ購入価格を連続で引き上げました。3月31日に全拠点でトン1,000〜3,500円、4月10日に1,500円、4月16日に500円です(出典:日刊鉄鋼新聞、東京製鐵 国内鉄スクラップ購入価格表)。堅調な輸出価格に対抗して国内の買値を上げた構図です。ただし5月には一部拠点で値下げもあり、上げ続けているわけではありません。電炉が原料確保のため買値を上げれば、電炉製品である鋼材のコストに乗ってきます。

価格は「市中・メーカー買値・輸出」で水準が違う

鉄スクラップの価格を見るときは、どの段階の価格かを区別する必要があります。同じ「H2」でも、市中相場(問屋ヤードへの持ち込み)、電炉メーカーの実勢買値、輸出価格では、それぞれ水準が変わります。一般に市中持ち込みが最も低く、メーカー買値や輸出価格はそれより高い水準になります。

具体的な数字でつかみやすいのは、関東鉄源協同組合の輸出入札です。2026年1月に関東でトン46,771円と1年半ぶりの高値をつけ、2月10日にはトン45,688円(H2、FAS)でベトナム向けに約1.5万トンを落札しました(出典:関東鉄源協同組合、日刊産業新聞)。国内のH2炉前価格も2026年に上昇し、5月末時点の関東はトン5万円台前半とされます(出典:日本鉄リサイクル工業会)。いずれも市況で変動するため、見積りや売却の判断では、自分が見ている価格が市中・買値・輸出のどれで、いつ時点のものかを取り違えないことが肝心です。

構造要因は電炉シフトとカーボンニュートラル

2026年の上昇は、単発の需給ではなく構造的な背景を持ちます。カーボンニュートラルの要請から、世界の鉄鋼各社が高炉から電炉への生産シフトを進めています。電炉は鉄スクラップを主原料にするため、各社が鉄スクラップの「囲い込み」に動き、需給はタイトになりやすい状況です(出典:STEEL STORY JAPAN)。

そこに円安が重なります。円安は輸出採算を改善するため、国内の鉄スクラップが海外に向かいやすくなり、国内価格も引き上げられます(出典:日本経済新聞)。中期的には、電炉シフトという構造要因がある限り、鉄スクラップの需給はタイトに振れやすいと見ておくのが妥当です。

ただし一本調子ではありません。2026年5月には海外相場の一部が下落に転じ、長く続いた上昇基調にも一服感が出たと報じられています(出典:日本鉄リサイクル工業会)。東京製鐵が5月に一部値下げをしたのも、この流れと整合します。輸出と為替が主役である以上、海外市況と円相場しだいで振れる点には注意が必要です。

鋼材コストへの波及と、現場・経営での見方

鉄スクラップは電炉鋼材の主原料です。スクラップ価格の上昇は、時間差で異形棒鋼やH形鋼といった電炉製品のコストに波及します。RC造の配筋、鉄骨造の形鋼。どちらも鉄スクラップ相場の川上の動きを見ておくと、鋼材の値上げを早めに読めます。建材コスト全体の動きはデータで見る建設コストで確認できます。

解体やリサイクルでスクラップを「売る」立場では、相場上昇は収益機会です。ただし輸出と為替に振られるため、高値が続く保証はありません。売却のタイミングは、関東鉄源協同組合の輸出入札結果や日本鉄リサイクル工業会の市況など、複数の指標で確認するのが現実的です。

失敗の型としては、ひとつの地域・ひとつの時点の相場だけを見て判断するパターンが考えられます。鉄スクラップは地域差があり、市中・買値・輸出で水準も違い、海外市況で短期に振れます。単一の数字を固定の前提に置くと、売却でも調達でも読みを外しやすい。複数の出典と時点を突き合わせ、レンジで捉えるのが安全です。

経営目線では、鉄スクラップを鋼材コストの先行指標として定点観測する価値があります。鉄骨・RC比率の高い受注を抱える会社は、鉄スクラップ相場を実行予算のモニタリング項目に入れておくと、鋼材値上げへの初動が早くなります。

よくある質問

Q1:鉄スクラップはなぜ2026年に上がったのですか。
A1:主因は輸出価格と円安です。輸出量はむしろ前年を下回っており、数量ではなく円安による輸出採算の改善が国内相場を押し上げました。電炉大手の東京製鐵は2026年3〜4月に購入価格を連続で引き上げています(出典:日本経済新聞、日刊鉄鋼新聞、日本鉄リサイクル工業会)。

Q2:鉄スクラップの価格はどこで確認できますか。
A2:日本鉄リサイクル工業会が価格推移表・市況を公表しているほか、輸出価格は関東鉄源協同組合の入札結果、電炉買値は東京製鐵の購入価格表で確認できます。市中・買値・輸出で水準が異なり、地域・時点でも変わるため、目的に合った価格を見る必要があります。

Q3:鉄スクラップと鋼材価格はどう関係しますか。
A3:鉄スクラップは電炉でつくる鋼材(異形棒鋼・H形鋼など)の主原料です。スクラップ価格の上昇は時間差で電炉製品のコストに波及するため、鋼材値上げの先行指標として使えます。

出典・参考

  • 鉄スクラップの市況・価格推移:一般社団法人 日本鉄リサイクル工業会(https://www.jisri.or.jp/market)
  • 輸出入札の落札価格・数量:関東鉄源協同組合(https://www.kantotetsugen.com/data.html)
  • 電炉メーカーの購入価格:東京製鐵 国内鉄スクラップ購入価格(https://www.tokyosteel.co.jp/scrapprice/)
  • 円安による上昇・高値:日本経済新聞「鉄スクラップ価格、13カ月ぶり高値 円安で上昇」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB226HH0S5A021C2000000/)
  • 2026年の需給・電炉シフト見通し:STEEL STORY JAPAN(https://steelstory.jp/market/7039/)

まとめ:鋼材コストの川上として鉄スクラップを見る

鉄スクラップは2026年、輸出と円安に押されて上昇しました。輸出量はむしろ減るなか、円安による輸出採算の改善が国内相場を押し上げ、東京製鐵は買値を連続で引き上げました。背景にはカーボンニュートラルに伴う電炉シフトと「囲い込み」という構造要因があります。ただし海外市況と為替に振られるため、5月には一部値下げも出るなど、上昇は一本調子ではありません。

現場・経営では、鉄スクラップを電炉鋼材コストの川上の先行指標として捉えることです。市中・メーカー買値・輸出の水準を区別し、複数の出典と時点をレンジで見る。鉄骨・RC比率の高い会社ほど、鉄スクラップ相場を実行予算のモニタリングに組み込むことが、鋼材値上げへの初動を早めます。

実際の取引価格とは異なる場合があります。参考値としてご利用ください。

実際の取引価格とは異なる場合があります。参考値としてご利用ください。
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