現場メディア
経営者・管理職向け現場監督・施工管理向け若手・キャリア志向向け
資材・コスト

建設資材の価格推移2026|セメント・生コンが過去最高、鉄筋・木材は反落(日銀CGPI 5品目)

共有:
建設資材の価格推移2026|セメント・生コンが過去最高、鉄筋・木材は反落(日銀CGPI 5品目)

この記事でわかること

建設資材の高騰は「一律」ではありません。日本銀行の企業物価指数(2020年平均=100)で5品目を分解すると、上がっている時期も天井の位置もバラバラです。2026年2月時点では、セメントと生コンクリートが過去最高水準で高止まりし(前年比ではなお上昇)、一方で鉄筋と木材はピークから反落しています。資材高騰の「主役」が木材・鉄からコンクリート系へ入れ替わった構図を、品目別の実データで整理します。

主要データ

  • セメント:166.2(2020年比+66%、前年比+12.8%)。2025年後半に再上昇し過去最高水準(日本銀行 企業物価指数、2026年2月)
  • 生コンクリート:156.5(同+57%、前年比+10.1%)。段階的に上昇してきた末の、足元が最高値
  • 小形棒鋼(鉄筋):149.4(同+49%、前年比-5.7%)。ピークは2023年7月の167.6で、そこから緩やかに反落
  • 製材:136.6(同+37%)。ウッドショックのピークは2021年10月の171.7
  • 合板・集成材:133.8(同+34%)。ピークは2022年6月の199.6(ほぼ2倍)で、その後大きく反落
データで見る

日銀CGPI 建設資材 品目別の推移

「資材が高い」を一括りにすると、予算を外します

建設会社の現場で「資材高騰」と言うとき、頭にあるのはたいてい直近で値上げ通知が来た品目です。2021年なら木材、2022年なら鋼材、そして2024年以降はセメント・生コンというように、年によって主役が違います。ところが見積りや予算では「資材は全体に上がっている」「最近は落ち着いてきた」と総論で構えてしまいがちです。

日本銀行の企業物価指数(CGPI、2020年平均=100)で建設資材を品目別に追うと、この総論がいかに危ういかが分かります。2026年2月時点で、5品目の上昇率は最大66%から最小34%まで開いています。しかも上がり続けている品目と、ピークを打って下げている品目が同居しています。一律のスライド条項や予備費では、どこかで取りこぼします。

第1幕(2021〜2022年):木材と鉄が先に急騰した

最初に跳ねたのは木材です。製材は2021年10月に171.7、合板・集成材は2022年6月に199.6と、わずか1〜2年でほぼ2倍まで上昇しました。いわゆるウッドショックです。米国の住宅需要と海上輸送費の高騰、円安が重なり、輸入材から国産材まで一斉に値上がりしました。

続いて鉄が動きます。小形棒鋼(鉄筋)は2022年1月に138、2023年7月には167.6まで上がりました。鉄スクラップ相場とエネルギーコストの上昇が効いています。この時期、現場の体感としては「木と鉄が高い」が資材高騰の中身でした。

一方でこの局面のセメントは2022年1月で100.5、生コンクリートは102.9と、ほぼ2020年水準のまま動いていません。コンクリート系はまだ静かでした。

第2幕(2023〜2026年):主役はセメント・生コンに交代した

2023年以降、構図が反転します。木材と鉄が天井を打って下げ始めるのと入れ替わるように、セメントと生コンクリートが上がり始めました。

セメントは2022年1月の100.5から、2024年1月に147.4、2026年2月には166.2へ。電力・石炭などエネルギーを多く使う製造工程の構造で、原燃料高と人件費・物流費の上昇が遅れて価格に乗りました。値上げは2023年以降に集中し、2024年から2025年前半は147.4で横ばいだったものの、2025年10月に166.2へ上昇し、その後2026年2月まで横ばいで過去最高水準に張り付いています。直近の月次は横ばいですが、前年比ではなお+12.8%と高い伸びです。

生コンクリートも同じ向きです。2023年1月の116.1から、2024年1月134.9、2025年1月141.5、2026年1月156.5へと段階的に上がり、2026年2月も156.5で最高値圏にあります。生コンはセメント価格の転嫁に加え、骨材(砂利・砂)や運搬費、ミキサー車のドライバー不足が効きます。前年比+10.1%で、こちらも足元が最高値です。

対照的に、鉄筋(小形棒鋼)は2023年7月の167.6をピークに反落し、2026年2月は149.4(前年比-5.7%)。木材も、製材は2021年10月の171.7から136.6へ、合板・集成材は2022年6月の199.6から133.8へと大きく下げています。ただし木材は2025年あたりで底を打ち、足元はわずかに戻している点には注意が必要です。完全に元の水準まで戻ったわけではなく、2020年比では依然3割超高い状態です。

なぜセメント・生コンだけ、今も上がるのか

木材・鉄とコンクリート系で値動きが分かれる背景には、価格を決める要因の違いがあります。木材や鉄スクラップは国際市況の影響が大きく、需給が緩めば相場が下がります。ウッドショックや鋼材高騰が一服したのは、海外需要と物流が正常化したためです。

一方、セメント・生コンは国内製造・国内消費が中心で、相場というより「コスト積み上げ型」の価格です。エネルギー価格、人件費、物流費といった構造的なコストが上がると、それが順に転嫁されます。これらは一度上がると簡単には下がりません。だから木材・鉄が反落しても、セメント・生コンは下がらず、前年比では二桁の上昇が続いています。

見積り・予算での構え方(So What)

この品目別の差は、そのまま見積りの精度に効きます。経営判断に翻訳すると、次の3点になります。

  • RC造・基礎工事はコスト上振れを織り込む。 セメント・生コンが前年比10%超で上がり続けている以上、鉄筋コンクリート造や基礎の比率が高い工事では、概算段階でコンクリート系のコスト上振れ(おおむね+10%前後)を予備費として持っておく構えが現実的です。
  • 木造は資材面では一服。ただし戻りに注意。 製材・合板はピークから大きく下げ、足元は底打ち圏です。木造の資材費は2022年の最悪期より楽になっていますが、わずかに反発しているため「下がり続ける」前提も置かないほうが安全です。
  • 「資材一式」をやめ、品目別の値上がり率を交渉材料にする。 見積りで資材費を「一式」にまとめると、品目ごとの山の違いが見えなくなります。CGPIの品目別データを根拠に、上がっている品目(セメント・生コン)は単価更改、落ち着いた品目(木材)は据え置き、と切り分けて交渉できます。

よくある外し方は、過去の値上げ局面の記憶で構えてしまうことです。2022年のウッドショックを強く経験した現場ほど「資材高騰=木材の話」という印象が残りやすく、2024年以降にコンクリート系が上がったときに基礎・躯体の予算を低めに見積もってしまう。第1幕の主役(木材・鉄)と第2幕の主役(セメント・生コン)は別物だ、と切り替えて見るのが要点です。

マクロの指数だけでは品目の山は見えない

建設コストの全体像は、国土交通省の建設工事費デフレーター(資材費に労務費・経費を含む総合指数)で押さえられます。総合指数は2026年3月時点で135.4まで上がっており、コスト全体としては約35%の上昇です。ただしデフレーターは資材・労務・経費を合算した指数なので、純粋な資材価格の動きや、品目ごとの山の違いまでは見えません。

マクロのコスト動向はデフレーターで、品目別の値上がり率はCGPIで、と使い分けるのが実務的です。本記事の元データと、デフレーター・建設工事受注額を重ねた分析は、建設コストのデータダッシュボードで確認できます。

(出典:日本銀行「企業物価指数」品目別、2020年平均=100、2026年2月時点。建設工事費デフレーターは国土交通省、2026年3月時点)

実際の取引価格とは異なる場合があります。参考値としてご利用ください。
共有:

関連記事