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グリーンファイル(安全書類)とは|法定書類との線引きと、施工体制台帳が2025年2月に5,000万円へ

最終更新:2026/10/17
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グリーンファイル(安全書類)とは|法定書類との線引きと、施工体制台帳が2025年2月に5,000万円へ

この記事でわかること

「グリーンファイル」は法令用語ではありません。現場に集まる書類の束の通称で、中身は建設業法が作成を義務づけている書類と、元請や発注者が現場ルールとして求めている書類が混ざっています。この線引きを持たないまま様式を集めると、法定書類の不備に気づかないまま現場が回ります。もう一つ、施工体制台帳の作成義務が生じる金額要件は2025年2月1日に引き上げられており、この改定を反映していない解説が残っている点にも注意が要ります。後半では、台帳に書く事項と添付書類、施工体系図と再下請負通知書の書き方を、建設業法施行規則の条文と国土交通省の通知に沿って整理しています。

主要データ

  • 施工体制台帳等の作成を要する下請代金額の下限は4,500万円(建築一式工事7,000万円)から5,000万円(同8,000万円)へ引き上げられ、2025年2月1日に施行されました(国土交通省、2024年12月6日公表)
  • あわせて、専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限も4,000万円(建築一式工事8,000万円)から4,500万円(同9,000万円)へ引き上げられました。台帳の閾値が下請代金額であるのに対し、こちらは請負代金額で、別の基準です(同上)
  • 金額要件の見直しの理由は「近年の建設工事費の高騰を踏まえ」と明記されています(同上。同じ発表にある「人件費の高騰等を踏まえ」は技術検定の受検手数料の理由で、金額要件の理由ではありません)
  • いわゆる作業員名簿は、令和2年国土交通省令第69号により施工体制台帳の一部として作成することとされました(国土交通省)
  • CCUSの技能者登録は2026年3月末で1,818,309人、事業者登録309,343者(一人親方を除くと201,588者)、就業履歴の累計は260,156,772件です(建設業振興基金、2026年4月14日公表)

「グリーンファイル」は法令用語ではありません

建設業法にも労働安全衛生法にも、グリーンファイルという言葉は出てきません。表紙が緑色だったことに由来する現場の通称で、指す範囲も会社によって違います。

実務上の中身は、性格の異なる2種類が混在しています。

  • 法令が作成・保存を義務づけている書類(施工体制台帳、施工体系図、再下請負通知書、作業員名簿など)
  • 元請や発注者が現場管理のために求める書類(安全衛生管理計画、持込機械等使用届、有機溶剤使用届など、現場ごとに種類も様式も変わるもの)

後者は現場が変われば求められる様式も変わります。前者は変わりません。困るのは、この2つを「グリーンファイル一式」として同じ棚に置いた結果、元請から求められた書類だけを揃えて法定書類の要件を確認していない状態です。元請が要求してこなかった、は法令上の言い訳になりません。

施工体制台帳の金額要件は2025年2月に上がっています

ここが本記事で一番伝えたい点です。

国土交通省は2024年12月6日に「建設業法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令」の閣議決定を公表し、建設業の各種金額要件を見直しました。施行は2025年2月1日です。

  • 特定建設業の許可を要する下請代金額の下限:4,500万円(建築工事業7,000万円)→ 5,000万円(同8,000万円)
  • 施工体制台帳等の作成を要する下請代金額の下限:4,500万円(建築一式工事7,000万円)→ 5,000万円(同8,000万円)
  • 専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限:4,000万円(建築一式工事8,000万円)→ 4,500万円(同9,000万円)
  • 特定専門工事の対象となる下請代金額の上限:4,000万円 → 4,500万円

金額要件の見直しについて、国土交通省は「近年の建設工事費の高騰を踏まえ」と述べています。同じ発表には「人件費の高騰等を踏まえ」という記述もありますが、こちらは技術検定の受検手数料の理由で、金額要件の理由ではありません。工事費が上がった分だけ、同じ規模の工事が金額要件を超えやすくなっていたことへの調整と読めます。

実務で間違えやすいのは、金額そのものより基準の種類です。台帳と許可は「下請代金額」、専任は「請負代金額」で、同じ工事でも見る数字が違います。8,000万円から9,000万円に上がったのは専任の閾値であって、台帳の閾値ではありません。社内の判定表がこの2つを1列にまとめていると、改定のたびに取り違えが起きます。

注意したいのは、検索で出てくる解説記事の多くが4,500万円・7,000万円のまま止まっていることです。金額要件は工事費の動きに合わせて改定されます。社内マニュアルや積算チェックリストに金額を直書きしている場合は、改定のたびに書き換えが要る箇所として管理しておく必要があります。個別案件の適用は、工事区分・下請総額の算定方法を含め、最新の法令と所管の許可行政庁でご確認ください。

2025年12月に全面施行された改正建設業法とあわせて押さえる場合は、改正建設業法まとめもご確認ください。

作業員名簿は施工体制台帳の一部です

作業員名簿を「安全書類の1枚」と捉えていると、位置づけを見誤ります。

建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部を改正する省令(令和2年国土交通省令第69号)により、いわゆる作業員名簿は施工体制台帳の一部として作成することとされました。令和2年10月1日以降に契約する建設工事が対象です。

作成義務の主体と条件は、民間工事と公共工事で別物です。ここを一括りにすると危険です。

民間工事では、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が、その工事を施工するために締結した下請契約の総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になるときに、施工体制台帳を作成して工事現場ごとに備え置き、施工体系図を見やすい場所に掲げます。

公共工事は違います。公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条第1項により読み替えが入り、「特定建設業者」は「建設業者」に、「締結した下請契約の請負代金の額…が政令で定める金額以上になる」は「下請契約を締結した」に置き換わります。つまり公共工事では金額の下限が無く、その工事の受注者である建設業者が下請契約を締結すれば施工体制台帳の作成義務が生じます。許可の区分が条件ではないので、一般建設業許可の会社も対象です。施工体系図の掲示場所も「工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」に読み替わります。さらに同条第2項により、作成した施工体制台帳の写しを発注者に提出します(工事現場の施工体制を発注者が情報通信技術を利用する方法で確認できる措置を講じている場合を除きます)。「下請が3,000万円だから台帳は不要」という判断は、公共工事では通りません。

つまり施工体制台帳の作成義務がかかる工事では、作業員名簿は任意の管理書類ではなく台帳の構成要素になります。台帳の記載事項には、作成建設業者の許可に関する事項、請け負った建設工事に関する事項、下請負人に関する事項、健康保険等の加入状況などが含まれます。

再下請負通知書は、下請がさらに下請に出すときに、発注者から直接請け負った特定建設業者へ通知するための書類です。台帳を作るのはこの元請側ですが、その材料は下請から上がってくる通知で埋まります。系列が深い現場ほど、1社の提出遅れが台帳全体を止めます。

施工体制台帳の書き方:書く事項は省令で決まっています

施工体制台帳に決まった様式はありません。国土交通省は作成例(Excel)を公開していますが、法令上記載しなければならない事項が網羅されていれば、作成例以外の様式を使ってもよいとしています(国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」)。書く事項を決めているのは建設業法施行規則第14条の2第1項です。

台帳に書く事項は4つの塊に分かれます

  • 作成建設業者(元請)自身のこと:許可を受けて営む建設業の種類、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況
  • 元請が請け負った工事のこと:工事の名称・内容・工期、発注者と契約した年月日と発注者の名称・住所、契約した営業所の名称・所在地、発注者が監督員を置く場合と自社が現場代理人を置く場合はその氏名と権限・意見の申出方法、主任技術者または監理技術者の氏名・資格・専任か否か、監理技術者補佐を置く場合はその氏名と資格、専門技術者を置く場合はその氏名・管理をつかさどる工事の内容・主任技術者資格、工事に従事する者の氏名・生年月日・年齢・職種・社会保険の加入等の状況・建退共の被共済者か否か・安全衛生教育を受けていればその内容・資格(作業員名簿の中身。資格は本人が希望しなければ除きます)、一号特定技能外国人と外国人技能実習生の従事の状況
  • 下請負人のこと:商号・住所、建設業者であれば許可番号と請け負った工事に係る許可業種、健康保険等の加入状況
  • 下請負人が請け負った工事のこと:工事の名称・内容・工期、注文者と契約した年月日、注文者が監督員を置く場合と下請負人が現場代理人を置く場合はその氏名と権限・意見の申出方法、下請負人が建設業者であれば置いている主任技術者の氏名・資格・専任か否か、専門技術者を置く場合はその氏名・管理をつかさどる工事の内容・主任技術者資格、元請から直接請け負った場合は契約した元請の営業所の名称・所在地、工事に従事する者に関する事項、外国人の従事の状況

2次以下の下請の欄は、元請が自分で調べて埋めるものではありません。下請が再下請に出すたびに出す再下請負通知書(規則第14条の4)で集まってきます。そのため元請は、下請に対して自社の商号と再下請負通知書の提出場所を書面で通知し、同じ内容を現場に掲示します(規則第14条の3)。

書き方の決まり

  • 添付した書類に同じ事項が書いてあれば、台帳側は書類との関係を明らかにして記載を省略できます(規則第14条の5第1項)
  • 下請負人の事項は、下請負人ごとに、施工の分担関係が分かるように書きます(同第2項)
  • 事実が生じたり明らかになったりしたら遅滞なく書き込み、見やすいところに商号・許可番号と施工体制台帳である旨を明示します(同第3項)
  • 書いた事項に変更があったら、変更の年月日を付記して書き直します(同第4項)
  • 電子ファイルで作り、現場で紙や画面に出せる状態にしておけば、それを台帳への記載に代えられます。添付書類もスキャンした電子データで代えられます(規則第14条の2第3項・第4項)
  • 台帳は添付書類を含めて、工事の目的物を引き渡すまで備え置きます(規則第14条の7)

国土交通省の留意事項では、建設業者ではなく工事の完成を請け負っていない資材業者・警備業者などは記載の義務がなく、各様式への押印も必要ないとされています。発注者から法令以外の項目も含めて記載するよう指示された場合は、発注者と協議するよう案内しています。

施工体制台帳の添付書類:契約書の写しと、技術者の資格・雇用を証する書面

添付書類は建設業法施行規則第14条の2第2項が4つ定めています。国土交通省のチェックリストは、確認しやすいように再下請負通知書などを分け、5項目で示しています。

  • 契約書の写し:発注者との請負契約書と、下請契約書(建設業法第19条の書面)の写し。2次以下の下請契約で公共工事以外のものは、請負代金の額の部分を除きます
  • 主任技術者または監理技術者について:資格を持つことを証する書面と、元請に雇用期間を特に限定することなく雇用されていることを証する書面(写しでも可)。建設業法第26条第5項により、資格者証の交付を受け登録講習を受講した者から選ばなければならない監理技術者は、資格を証する書面が監理技術者資格者証の写しに限られます
  • 監理技術者補佐を置く場合:補佐の資格を証する書面と、雇用を証する書面(写しでも可)
  • 主任技術者・監理技術者・監理技術者補佐以外に施工の技術上の管理をつかさどる者(専門技術者)を置く場合:主任技術者資格を証する書面と、雇用を証する書面(写しでも可)

公共工事は金額の扱いが違います。国土交通省の「施工体制台帳等のチェックリスト」は「公共工事については2次下請以下も含めた全ての下請業者について請負金額を明記しなければならない」としています。民間工事の感覚で2次以下の契約書の金額を伏せたまま公共工事の台帳に綴じると、不備になります。

技術者の雇用を証する書面は、保険証の前提から差し替わっています

同じチェックリスト(2026年9月13日時点で国土交通省のページに掲載中のもの)は、主任技術者・監理技術者などの雇用関係を証明するものとして今も「健康保険被保険者証又は住民税特別徴収税額通知書の写し」を挙げています。一方で国土交通省は、2024年12月2日以降は健康保険被保険者証の新規発行が行われないことを踏まえ、監理技術者等の雇用関係は同日以降、次の資料で確認するよう通知しています(国不建技第120号、2024年12月2日)。

  • 監理技術者資格者証
  • 市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書
  • 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
  • 所属会社の雇用証明書
  • これらに準ずる資料(いずれも写しで可)

監理技術者制度運用マニュアル(最終改正2025年1月28日)も、資格者証、住民税特別徴収税額通知書、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書、所属会社の雇用証明書のそれぞれの写し、またはこれらに準ずる資料で雇用関係が確認できることが必要としています。通知は有効期限前の保険証を確認書類に使うことも認めていますが、保険証の新規発行は終わっています。社内の書類案内が保険証だけを前提にしているなら、通知とマニュアルの資料名に改めます。

作業員の保険加入は、原則CCUSで確認します

作業員の社会保険の加入状況は台帳の記載事項で、添付書類ではありません。現場での確認方法は、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインに沿って国土交通省の事務連絡(2024年11月6日)が整理しています。

  • 原則:建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録情報で確認します。この場合、証明書類の添付は不要です
  • CCUS未加入でマイナ保険証を持っている作業員:保険者が発行する「資格情報のお知らせ」のコピー、またはマイナポータルに表示される被保険者資格情報のPDFや印刷物
  • CCUS未加入でマイナ保険証を持っていない作業員:保険者が発行する「資格確認書」のコピー

いずれも、保険加入の確認に必要な事項以外は黒塗りします。作業員の確認については、2024年12月1日時点で有効だった保険証のコピーも有効期限まで(最長で2025年12月1日まで)使えるとされていました。

再下請負通知書にも契約書の写しを付けます

2次以下の契約書の写しは、再下請負通知書に添付されて元請に届きます(規則第14条の4第3項)。ここでも公共工事以外は請負代金の額の部分を除きます。再下請負通知書の提出が遅れると、台帳の添付書類もそろいません。

書類の担当者が見直す点は2つです。1つ目は、技術者の雇用証明と作業員の保険確認の案内が「保険証のコピー」だけを前提にしていないかを見て、それぞれ上の資料名に改めることです。2つ目は、公共工事の現場で2次以下の契約書の金額が伏せられていないかを確かめることです。作業員の保険確認をCCUSに寄せるほど、コピーを集めて黒塗りする手間は減ります。

施工体系図:台帳から作り、現場に掲げる分担の図です

施工体系図は、各下請負人の施工の分担関係を表した図です(建設業法第24条の8第4項)。作る義務があるのは、施工体制台帳の作成義務がかかる工事の元請(作成建設業者)です(同条第1項。公共工事は前述の読み替えにより、下請契約を結べば金額にかかわらず対象)。中身は、台帳に集めた情報を、どの会社がどの工事を受け持っているかが一目でわかる形に並べ直したものです。台帳は現場に備え置く書類、体系図は現場に掲げる書類という違いがあります。

体系図に載せる事項

載せる事項は建設業法施行規則第14条の6が決めています。

  • 元請のこと:商号、工事の名称と工期、発注者の名称、元請が置く主任技術者または監理技術者の氏名(監理技術者補佐を置くときはその氏名、専門技術者を置くときはその氏名と管理をつかさどる工事の内容も)
  • 下請ごとのこと:商号、代表者の氏名、一般建設業か特定建設業かの別、許可番号
  • 下請が受け持つ工事のこと:工事の内容と工期、特定専門工事に当たるかどうか、下請が置く主任技術者の氏名(専門技術者を置くときは、その氏名と管理をつかさどる工事の内容も)

下請が建設業者でない場合は、商号・代表者の氏名と、工事の内容・工期だけで足ります。建設業者以外で工事の完成を請け負っていない資材業者・警備業者等は記載の義務がなく、各様式への押印も要らないと、国土交通省が案内しています(国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」)。

載せるのは「いま施工している」下請です

規則第14条の6は、体系図に載せる下請を「現にその請け負つた建設工事を施工しているもの」としています。工期の途中で下請が入れ替われば、体系図も描き直します。着工時の図を貼ったままにすると、掲示の内容が現場の実態と合わなくなります。掲示は目的物の引渡しまで続けます(規則第14条の7)。掲示場所は、民間工事なら工事関係者が見やすい場所です。公共工事では、前述の入札契約適正化法第15条の読み替えにより、公衆が見やすい場所も加わります。

様式は自由、保存は引渡しから10年です

様式の指定はありません。国土交通省は樹状図形式と表形式の2つの作成例を公開しており、記載事項が網羅されていれば別の様式でも構いません。工事が終わった後、作成建設業者は施工体系図を営業に関する図書として営業所で保存します(規則第26条第5項第3号)。保存期間は引渡しから10年間です(規則第28条第2項)。帳簿とその添付書類の保存期間(5年間。発注者と結んだ住宅新築の請負は10年間。規則第28条第1項)とは別の定めなので、書類の保管ルールを1本で決めている会社は見直しが要ります。

再下請負通知書の書き方と出し方:出すのは下請、受け取るのは元請です

再下請負通知書は、下請が受けた工事をさらに別の業者に出したときに、その下請が元請(作成建設業者)へ出す書類です(建設業法第24条の8第2項、規則第14条の4)。出す義務があるのは、再下請に出した下請だけです。再下請に出さず自社で施工する下請には、出す義務がありません。

誰が、いつ出すか

元請は、台帳を作る立場になったら遅滞なく、下請に「元請の商号」と「再下請負通知書を出す場所」を書面で知らせ、同じ内容を現場の見やすい場所に掲げるか、現場の画面に表示して閲覧できるようにします(規則第14条の3)。下請がさらに下請に出したときは、出す都度、遅滞なく通知書を元請に出し、あわせて再下請先にも同じ2点を書面で伝えます(規則第14条の4第2項)。この伝達が1次から2次、2次から3次へと順に下りていくので、末端の業者まで提出先がわかる仕組みです。

通知書に書く事項

  • 自社(通知する下請)のこと:商号と住所、建設業者なら許可番号
  • 自社が受けた工事のこと:工事の名称、注文者の名称、注文者と下請契約を結んだ年月日
  • 再下請先のこと:商号と住所、許可番号と許可を受けた建設業の種類、健康保険等の加入状況
  • 再下請先が受けた工事のこと:工事の名称・内容・工期、契約の年月日、注文者の監督員と再下請先の現場代理人の氏名と通知事項(置く場合)、主任技術者の氏名・資格・専任かどうか、専門技術者の氏名・管理をつかさどる工事の内容・資格(置く場合)、工事に従事する者に関する事項、一号特定技能外国人と外国人技能実習生の従事の状況

再下請先の欄は、施工体制台帳の下請負人の欄(規則第14条の2第1項第3号・第4号)とほぼ同じ項目です。違いは、台帳にある「契約した元請の営業所の名称・所在地」の欄が通知書には無いことです(第4号トが除かれています)。元請は通知書を受け取って台帳の2次以下の欄を埋めます。通知書に無い営業所の欄のように、台帳にしか無い項目は元請が自分で確かめて記載します。様式の指定はなく、国土交通省が作成例を公開しています。

内容が変わったら、また通知します

通知した事項が変わったとき(工期の延長、主任技術者の交代など)は、遅滞なく、変更の年月日を付けて元請に書面で通知します(規則第14条の5第5項が同条第4項を準用)。当初の通知も変更の通知も、元請の承諾を得れば書面の代わりに電子データ(電磁的方法)で出せます(当初は規則第14条の4第4項、変更は第14条の5第6項・第9項)。

元請の側で見直すのは、下請に配る案内文です。提出先に加えて「再下請契約を結ぶ都度、遅滞なく」「変更があったときも出す」の2点が書いてあるかを確かめます。案内文にこれが無いと、下請は契約書がそろうまで待ってから出すので、台帳の更新が止まります。

CCUSで置き換えられる範囲と、置き換えられない範囲

書類の手間を減らす方向として、CCUS(建設キャリアアップシステム)の就業履歴を使う運用があります。国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」で公開されている作成例でも、CCUSの活用に触れています。

制度そのものの費用や経審加点はCCUSとは|建設キャリアアップシステムの費用・メリット・経審加点まで完全ガイドで扱っています。ここでは書類を減らせるかどうかに絞ります。

普及の実数はこうです(建設業振興基金、2026年4月14日公表・2026年3月末時点)。

  • 技能者登録:1,818,309人
  • 事業者登録:309,343者(一人親方を除くと201,588者)
  • 就業履歴の累計:260,156,772件

建設業技能者数を約296万人(総務省「労働力調査」を基に国土交通省が整理、令和7年)とすると、技能者登録の累計は約61%にあたります(編集部試算)。ただしこれは累計登録数を分母で割っただけの値で、離職者や更新未了を含みます。現役技能者の実カバー率はこれより低くなります。

データで見る

CCUS登録 技能者・事業者数の推移

この数字の使い方はこうです。全員が登録済みの現場なら履歴で置き換えが進みますが、未登録者が1人でもいれば、その人の分は従来どおり紙か個別入力で埋めることになります。書類が半分になるのではなく、二重運用がしばらく続くという前提で工数を見たほうが実態に合います。自社の現場で何割が登録済みかは、協力会社に聞けば数えられます。

現場でつまずく点

1. 元請が求めた書類=法定書類、と考えている

元請の要求リストは現場管理の都合で作られており、法令の要求と一致するとは限りません。多い場合も少ない場合もあります。自社が下請として提出する側であっても、施工体制台帳に載る情報の正確性は自社の責任範囲です。

2. 金額要件を旧基準のまま運用している

社内チェックリストに4,500万円と書いたまま2年運用している、という状態は珍しくありません。金額を直書きした文書がどこにあるかを洗い出すところから始めます。

3. 失敗事例:再下請負通知の遅れで台帳が締まらない

3次下請まで入る改修工事で、2次下請が再下請負通知書の提出を「契約書ができてから」と後回しにした結果、着工後2週間たっても施工体制台帳の更新が止まった現場がありました。台帳は工事現場ごとに備え置く書類なので、下請が入れ替わるたびに更新が要ります。契約書の締結と通知書の提出は別の手続きなので、通知は契約前でも出せる情報から先に埋める運用にしておく必要があります。

経営判断への翻訳

3点に絞ります。

第一に、金額を直書きした社内文書の棚卸しです。金額要件は工事費の高騰に合わせて改定されました。今後も同じ理由で動く可能性があります。チェックリストやマニュアルに数字を埋め込むのではなく、根拠となる国土交通省のページを参照する形にしておけば、改定のたびの書き換えが減ります。

第二に、書類の担当を誰に置くかです。系列が深い現場では、台帳が締まらない原因は自社ではなく下請の提出遅れにあります。督促を現場監督の片手間にしている限り、着工直後の一番忙しい時期に工数を取られ続けます。判断のトリガーは月次の差戻し件数です。現場あたり月5件を超えるなら、専任または外部委託の損得を計算する段階に入っています。

第三に、CCUS運用の見切りです。カバー率が約61%の段階では、電子化しても紙の運用は消えません。全面移行の時期を待つのか、二重運用のコストを払ってでも先に慣れておくのかは、自社の現場に入る技能者の登録状況を数えてから決める話です。登録率が高い協力会社が多いなら前倒しの価値があります。

BIMやICT施工まで含めた普及の実数は建設DXの現在地で更新しています。

法令は改正されます。個別の工事における許可・台帳・技術者配置の要否は、所管の許可行政庁または専門家にご確認ください。

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