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建設業の倒産2025年は2,021件で12年ぶり2,000件超、休廃業1万件超と合わせ年間1.2万社が退出

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建設業の倒産2025年は2,021件で12年ぶり2,000件超、休廃業1万件超と合わせ年間1.2万社が退出

この記事でわかること

帝国データバンクが2026年1月13日に公表した「『建設業』の倒産動向(2025年)」で、2025年の建設業倒産は2,021件。2000年以降で初の4年連続増加となり、2013年以来12年ぶりに2,000件を超えました。人手不足倒産は113件で業種別に初の100件超、経営者病気・死亡による倒産78件も過去最多です。東京商工リサーチの「2025年休廃業・解散」調査では建設業が10,283件で初の1万件超、全産業で最多(全体の15.3%)。倒産と合わせ年間約1.2万社が市場から退出しています。

主要データ

  • 建設業倒産件数:2025年2,021件、前年比+6.9%(2024年1,890件)。2000年以降初の4年連続増加、2013年以来12年ぶりに2,000件超(帝国データバンク「『建設業』の倒産動向(2025年)」2026年1月13日公表)
  • 人手不足倒産:113件で業種別に初の100件超(前年99件、TDB「人手不足倒産の動向調査(2025年)」2026年1月8日公表)。2024年4月の時間外労働上限規制の適用業種で増勢が続く
  • 物価高倒産:240件(前年250件から-10件の微減)、経営者病気・死亡78件(過去最多)、負債5,000万円未満が1,167件で57.7%を占める(同調査)
  • 地域別の増加率:中国地域120件(前年比+18.8%)、中部291件(+17.8%)が全国で最大の伸び。九州163件は-3.6%減、北海道50件は-19.4%減(同調査)
  • 業種別で過去最多を更新:とび工事、はつり・解体工事、塗装工事、防水工事、機械器具設置工事(同調査)
  • 休廃業・解散:2025年の建設業10,283件で業種別初の1万件超、全10産業で最多・全体67,210件の15.3%(東京商工リサーチ「2025年全国企業休廃業・解散動向調査」2026年1月公表)

注記:本記事の倒産・休廃業件数はTDB・TSRの公表時点の集計値です。定義や集計対象(負債1,000万円以上など)は出典ごとに異なるため、他調査と直接比較する際はご注意ください。最新値は各社公式発表でご確認ください。

2025年の建設業倒産は2,021件で、2013年(2,347件)以来12年ぶりに2,000件を超えました(帝国データバンク「『建設業』の倒産動向(2025年)」2026年1月13日公表、以下TDB 2025年年報)。2000年以降で初の4年連続増加、過去10年で最多という節目の数字が並びます(2019年比+43%、ゼロゼロ融資で抑制された直近底の2021年1,066件比ではプラス約90%)。増加の主因は件数の多寡だけでなく、「新しい倒産類型」の定着です。人手不足倒産が業種別に初の100件超となる113件に達し、経営者の病気・死亡による倒産78件も過去最多を更新しました。

さらに東京商工リサーチの「2025年全国企業休廃業・解散動向調査」(2026年1月公表)では、建設業の休廃業・解散は10,283件で初の1万件超え。全10産業の中で最多、全体67,210件の15.3%を占めました。倒産と休廃業を合わせると、建設業は年間約1.2万社が市場から退出している計算になります。

データで見る建設業の倒産で月次の倒産動向を随時更新しています。

データで見る

建設業 倒産件数の推移

倒産件数の推移:2021年1,066件を直近底に4年で約90%増

2020〜2021年はゼロゼロ融資で抑制、2022年以降に反転急上昇

帝国データバンクのTDB 2025年年報と過去の同年報シリーズから、建設業倒産件数の推移を整理します(2025年値は当サイトの bankruptcy データ および TDB 2025年年報と整合)。

倒産件数

主な背景

2013年

2,347件

リーマン後の整理局面の終盤(TDB過去公表値)

2019年

1,414件

五輪関連・大型再開発の需要ピーク

2020年

1,266件

ゼロゼロ融資で倒産を大幅抑制

2021年

1,066件

ゼロゼロ融資の効果が継続、直近底

2022年

1,204件

資材高騰・返済開始で反転

2023年

1,671件

人手不足の顕在化

2024年

1,890件

3年連続増加・過去10年最多

2025年

2,021件

4年連続増加、12年ぶり2,000件超

2019年の1,414件から2025年の2,021件へ、6年で約43%増加しました。ただし2020〜2021年はコロナ禍の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)で倒産が大幅に抑制され、2021年1,066件が直近の底となっています。その直近底からは4年で約90%増。本来2020年前後に整理されるはずだった企業が延命した分の「先送り」が、返済開始後に顕在化している構造です。2015〜2018年は年平均1,500件台で推移しており、2019〜2021年の1,000件台前半は過去10年でも例外的な水準でした。

2022年以降に増加が続く3つの要因

2022年以降の連続増加は、以下の3つの要因が同時並行で進んだ結果です。

  1. ゼロゼロ融資の返済開始:コロナ禍の実質無利子・無担保融資は全産業向けで大規模に実行され、2022年後半から本格的に返済開始となりました。売上がコロナ前に戻らないまま月々の返済に行き詰まる企業が出ており、建設業でも資金繰り悪化要因の一つとして影響しています。TDBは全産業ベースで「ゼロゼロ融資後倒産」を別途集計しています。
  2. 資材価格と労務費の上昇:鋼材・セメント・木材・燃料の上昇が2022年以降続き、固定価格の請負契約で発注した工事が赤字になるケースが増加。TDBは物価高倒産を2025年240件と集計、前年250件からの微減ですが水準は依然高止まりです。
  3. 人手不足の慢性化:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年4月分)」(2025年5月30日公表)で、建設・採掘の職業(常用、パート含む)の有効求人倍率は4.81倍。職業別では建設躯体工事従事者7.75倍、土木作業従事者5.67倍、建築・土木・測量技術者5.12倍と、複数の個別職種で5倍前後から7倍台の高水準が続いています(パート除外ベースだとさらに数値は高くなります)。工期遅延と受注辞退が利益圧迫に直結する局面です。

3つの要因は独立せず、相互に悪化を加速させる構造にあります。資材高で利益が細り、返済で資金繰りが逼迫し、人を雇う余力がなく、受注を取れても回せない――という連鎖です。

原因別の内訳:「人手不足倒産」が業種別に初の100件超

人手不足倒産113件:2024年4月規制適用以降の新常態

TDB「人手不足倒産の動向調査(2025年)」(2026年1月8日公表)で特に注目されたのが、人手不足倒産113件(前年99件)という数字です。建設業は業種別で初めて100件を超えました。建設業は2024年4月の時間外労働上限規制(いわゆる2024年問題)で、残業時間の上限が月45時間・年360時間(特例条項でも年720時間以内)に制限されています。

  • 職人が確保できず工事を受注できない、あるいは受注しても完工できない
  • 営業所技術者等(建設業法改正前の「専任技術者」)が退職し、代替の有資格者を配置できなかった結果、建設業許可の要件を欠くケース
  • 経営者の高齢化と後継者不在が重なり、主力技術者の退職が引き金になるケース

従来の「受注過多→資金繰り悪化→倒産」という経路ではなく、「人が足りない→受注できない→売上が立たない→倒産」という逆方向の因果が建設業に定着しつつあります。なお営業所技術者等の欠員が許可要件・受注継続に与える影響は、許可権者への変更届(原則14日以内)や代替要員確保の状況で判断されるため、詳細は行政庁・行政書士等の専門家確認が必要です。

物価高倒産240件:高止まりだが微減

物価高倒産は2025年240件で、前年の250件からは10件減少しました。ピーク感はありますが水準は高止まりで、資材価格の上昇が固定価格契約の下請に直接響く構造は変わっていません。特に下請は元請の指し値を受け入れざるを得ない取引慣行が残り、資材調達から支払までの3〜6ヶ月のラグで見積もり時点と施工時点の価格差が利益を吹き飛ばす事例が続きます。2024年6月公布の改正建設業法では、労務費等を内訳明示した見積書の提出・尊重、著しく低い労務費等による見積依頼の禁止などの新ルールが段階施行されており、取引慣行の是正が法制度面からも進む局面です。

経営者病気・死亡倒産78件:過去最多、高齢化の帰結

TDB 2025年年報で見過ごせないのが、経営者の病気・死亡を直接原因とする倒産78件の過去最多更新です。建設業の経営者は高齢化が進んでおり、後継者不在率も依然高い水準にあります。技術者である経営者自身が現場を回している中小企業では、経営者の突然の離脱が事業継続の不能を直接引き起こします。

規模別と業種別の実態:零細と特定工種に集中

負債規模別:5,000万円未満が57.7%

TDB 2025年年報の負債規模別集計では、負債5,000万円未満が1,167件で全体の57.7%を占めました。一方、負債10億円以上は0.7%(約14件)にとどまり、倒産は零細層に極端に偏っています。一方で大手総合建設は、データセンターや半導体関連の大型案件を受注する企業を中心に増収基調が続いており、下請・零細との二極化が鮮明です(各社の決算動向は公表されている決算短信・有価証券報告書でご確認ください)。

業種別で過去最多を更新したのは5業種

TDBは2025年年報で、建設業のうち以下の5業種で倒産件数が過去最多を更新したとしています。

  • とび工事業
  • はつり・解体工事業
  • 塗装工事業
  • 防水工事業
  • 機械器具設置工事業

いずれも元請の一次下請・二次下請の位置にある専門工事業で、元請からの受注量変動と価格交渉力の弱さが影響しているとみられます。特にはつり・解体工事と塗装工事は、人数の少ない零細事業者が多く、1人の主力技術者の退職・病気が事業継続の可否に直結しやすい業種です。

地域別の動向:急増は中国・中部、九州はむしろ減少

前年比で最も増加したのは中国地域+18.8%

TDB 2025年年報の地域別集計を整理します。

地域

2025年倒産件数

前年比

中国

120件

+18.8%

中部

291件

+17.8%

九州

163件

-3.6%

北海道

50件

-19.4%

全国平均の伸び(+6.9%)を大きく上回ったのは中国・中部。九州は前年比で減少に転じていますが、地域別の増減要因はTDBの集計だけでは特定できず、熊本TSMC関連の建設特需・地場の公共工事発注量・ゼネコンの進出状況など複数要因が考えられます。北海道は前年から12件程度の減少ですが、もともと絶対件数が50件規模で大都市圏より小さいため、比率としては大きく振れやすい特性があります。

「地域差の固定観念」は毎年崩れる

倒産の地域差は年ごとに大きく入れ替わります。2024年まで「九州が急増」と語られていた構図が、2025年には中国・中部へ移っています。地域の公共工事発注量、人口動態、特需の有無で景色が変わるため、「自社の所在地域が去年増えたから今年も増える」という推論は持ちづらい領域です。

倒産の予兆:どの指標を見るべきか

倒産に至る企業には財務指標と行動レベルの両面で共通の予兆があります。以下の財務指標の水準は、東日本建設業保証「建設業の財務統計指標 令和6年度決算分析」(2025年10月公表、対象20,216社、土木・建築/土木/建築/電気/管の5業種)の業界平均水準を参考値として示したものです。「要注意水準」のしきい値は同指標の下位層の数値と民間与信調査機関の一般的な要注意基準を踏まえた編集部判断で、公的な判定基準ではありません。実際の判断は自社の決算書と顧問税理士・金融機関の評価を踏まえて行う必要があります。

指標

業界平均水準(参考)

要注意水準(編集部の目安・単独判定不可)

意味

自己資本比率

建設業全体で約40%、資本金1千万円未満では約25%

10%未満

負債が資産の9割を超え、返済余力が乏しい

流動比率

業界全体で約330%(東日本建設業保証 令和6年度決算分析)

100%未満

短期の支払能力が不足

借入金依存度

業界平均で20〜30%

50%超

売上の相応部分が返済に消える

完成工事高営業利益率

業界平均で2〜3%

1%未満

コスト上昇を吸収できていない

表中の要注意水準は「単一指標だけで倒産可能性を判定できるもの」ではありません。自社の決算書・受注残・取引構造と合わせて複数指標で見るのが前提です。以下の行動レベルの変化にも注意を払う余地があります。

  • 下請への支払い遅延が継続発生(信用情報に影響、公共工事入札参加資格にも波及の可能性)
  • 主力技術者の退職(建設業許可の営業所技術者等要件の欠員リスク)
  • 公共工事の受注が前年比で大幅に減少
  • ゼロゼロ融資などのリスケ(条件変更)申請
  • 取引銀行の格付け引き下げ、融資枠の削減通知

倒産を回避するための3つの選択肢

TDB・TSRの公表データと、中小建設業の経営判断の実務を照合すると、早期に動いた企業が助かる傾向が見えます。以下の3つを「倒産の前にとれる選択肢」として整理します。

1. 早期のM&A・事業譲渡

建設業のM&A件数は近年増加傾向で、レコフデータの月次集計や日本M&Aセンターの業界別動向で建設業は目立つ位置にあります。倒産する前に事業を譲渡すれば、従業員の雇用と取引関係を維持できる可能性が広がります。ただし建設業許可の承継可否はM&Aスキーム(株式譲渡・事業譲渡・合併等)や許可要件の充足状況で扱いが変わるため、行政庁・行政書士等への事前確認が必要です。売却価格は年商倍率だけで決まるものではなく、EBITDA・純資産・受注残・有資格技術者の人数・建設業許可と経審点・債務状況など複数の要素で評価されます。単純な「年商の何倍」という目安だけで判断すると実態と乖離するため、M&A仲介会社や公認会計士の査定を受けるのが前提です。技術者が辞めた後・許可が失効した後では譲渡交渉自体が成立しにくくなるため、在職・許可維持中に動くことが選択肢の幅を広げます。

2. 公共工事比率の引き上げ

公共工事は資金繰りの面で中小にとって利点があります。国の公共工事標準請負契約約款に沿って発注される場合、請負代金の40%以内を前払金として契約後に受領可能です(公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づく保証会社の保証が前提)。さらに請負金額1,000万円以上・工期150日以上の工事では、発注者が制度を導入していれば中間前払金20%以内も活用できます。出来高部分払制度を選択した場合は工事期間中に一定間隔で部分払を受けられる設計で、「完工から支払いまで長期間」という民間下請特有のサイトとは構造が異なります。地方公共団体発注の工事は発注者ごとに要件や上限が異なるため、個別の契約条項・要綱の確認が必要です。経営事項審査(経審)のW点改善(若年技術者の確保・資格取得・社会保険加入の徹底)は比較的短期で取り組めるレバーです。ただし公共工事シフトには入札参加資格登録・経審点・保証枠・配置技術者・施工実績の制約があり、これらを満たせない企業にとっては短期の資金繰り改善策にはなりません。

3. 専門工事への特化

工種選択は倒産リスクと両面の関係にあります。東日本建設業保証「建設業の財務統計指標 令和6年度決算分析」では、電気・管工事などのインフラ設備系は土木・建築の総合工事と比べ営業利益率で相対的に高い水準が続く傾向が出ています。インフラ老朽化対策と住宅ストック更新の流れで、電気・管・解体・改修の需要は今後10年で増加が見込まれます。一方、TDB 2025年年報ではとび・はつり解体・塗装・防水・機械器具設置の5業種で倒産が過去最多を更新しており、労働集約型の職別工事は人手不足の影響をより強く受ける構造です。「専門工事=安全」という単純化はできないため、自社の強みと参入する工種の財務特性を照らし合わせた判断が必要です。

まとめ:倒産データから読む経営判断

  • 2025年の建設業倒産2,021件は「氷山の一角」。休廃業・解散10,283件を合わせると年間約1.2万社が市場から退出しています
  • 人手不足倒産113件は業種別で初の100件超。「仕事があるのに倒産する」類型が新常態に
  • 経営者病気・死亡倒産78件は過去最多。経営者高齢化と技術者兼務経営者の脆弱性が顕在化
  • 負債5,000万円未満が57.7%。下請・零細の二極化が鮮明
  • 業種別ではとび・解体・塗装・防水・機械器具設置の5業種が過去最多
  • 地域では中国+18.8%・中部+17.8%。九州は-3.6%で前年の急増から反転。地域構造は毎年入れ替わる
  • 四半期ごとに自己資本比率・流動比率・借入金依存度・営業利益率をチェック。要注意水準に入る前に動く
  • M&A・公共工事シフト・専門工事特化は倒産回避の選択肢。技術者が辞める前に動くことが条件
  • データで見る建設業の倒産で月次の倒産動向を随時確認できます

参照出典

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出典:各省庁公式データ。最終更新日を必ずご確認ください。
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