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4号特例の縮小で確認審査と住宅着工はどう動いたか|審査期間・木造・都道府県別の統計

最終更新:2026/10/31
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4号特例の縮小で確認審査と住宅着工はどう動いたか|審査期間・木造・都道府県別の統計

この記事でわかること

4号特例の縮小は、2025年4月に省エネ基準の適合義務化と同時に施行されました。建築確認の申請は2025年9月に例年並みへ戻りましたが、国土交通省が民間15機関に聞いた審査期間は、改正前の約3〜7日に対して9月末時点で約39日です。住宅着工は2026年4〜9月が2024年同期を8.0%下回り、そのうち木造は1.5%減、非木造は16.7%減でした。統計だけでは、この動きのうち制度の影響がどれだけかは分かりません。

主要データ

  • 事前審査から確認済証までの平均処理期間:改正前 約3〜7日、2025年6月末 約29日、9月末 約39日(国土交通省、民間15機関へのヒアリング。全国平均ではありません)
  • 確認申請の推計件数:2025年4月前半14,074件、9月後半21,755件(国土交通省、主要審査機関の報告から推計)
  • 新設住宅着工 2025年3月:89,802戸(前年同月比+39.6%)、5月:43,237戸(国土交通省「建築着工統計調査」)
  • 2026年4〜9月の着工:379,029戸(前年同期比+11.3%、2024年同期比-8.0%、国土交通省「建築着工統計調査」2026年9月分まで、編集部集計)
  • 同じ期間の2024年同期比:木造-1.5%、非木造-16.7%、持家-8.4%。持家が2024年同期を上回ったのは47都道府県のうち3都県(同)

4号特例の縮小で確認審査と住宅着工はどう動いたか|審査期間・木造・都道府県別の統計

注記:本記事は制度の概要と統計の整理であり、個別の建物が確認申請の対象になるかを判断するものではありません。対象の規模や必要な図書は、国土交通省の資料と所管の特定行政庁・指定確認検査機関で確認してください。法令は改正される場合があります。実務判断は専門家にご相談ください。

本記事は制度の説明を概要にとどめ、施行前後の確認審査と住宅着工を統計で追います。審査の日数、木造と非木造の差、都道府県別の持家まで並べます。住宅会社と工務店の受注計画と工程に、どこまで織り込むかを考える材料です。

4号特例とは|何が変わったか

4号特例は、木造住宅などの小規模な建築物について、建築士が設計する場合に建築確認で構造関係規定などの審査を省略する制度です(建築基準法第6条の4)。令和4年法律第69号で見直され、2025年4月1日に施行されました(出典:国土交通省 改正建築基準法 確認申請・審査マニュアル)。

変わった点は3つです。

  • 区分が変わりました。従来の4号建築物は「新2号建築物」と「新3号建築物」に分かれました。木造2階建ては新2号建築物です
  • 新2号建築物は審査省略の対象外になり、大規模な修繕・模様替も含めて建築確認・検査の対象です
  • 新2号建築物の確認申請には、構造関係規定等の図書と省エネ関連の図書の提出が新たに必要です

区分の線引きは本記事では扱いません。確認先は国土交通省のリーフレット「4号特例が変わります」です。

同じ法律で、原則すべての建築物に省エネ基準への適合が義務付けられ、同じ2025年4月に始まりました。統計を読むときは、2つの制度が重なっている点に注意が要ります。

申請は9月に戻ったが、審査の期間は延びた

国土交通省は、施行前後の審査状況を半月ごとに集めて公表しました。主要な審査機関の報告を回答率で割り戻した推計で、2025年3月以降に受け付けた案件だけを数えています(出典:第6回 円滑施行に関する連絡会議 資料1、2025年10月3日時点の回答)。

2025年

申請件数

交付件数

3月前半

23,633

14,942

3月後半

18,497

22,398

4月前半

14,074

7,980

4月後半

15,679

13,087

5月前半

15,420

13,197

5月後半

20,594

19,967

6月前半

19,388

17,124

6月後半

22,734

21,635

7月前半

21,657

19,600

7月後半

23,316

22,276

8月前半

16,219

14,743

8月後半

20,674

20,499

9月前半

20,028

18,625

9月後半

21,755

21,092

申請は4月前半に14,074件まで減り、5月後半に2万件台へ戻りました。同じ資料は「9月には例年の件数並みに回復」とまとめています。8月前半は16,219件と落ち込みますが、半月単位の数字なので、1回の落ち込みだけで傾向は読めません。

3月の交付件数には、3月より前に受け付けた案件が入っていません。3月前半の14,942件は、実際の交付より少ない数字です。

3〜9月の累計は申請273,668件、交付247,165件で、差は約2.7万件です(編集部試算)。3月以降に受け付けた案件に限った推計値どうしの差で、全国の未交付案件の総数ではありません。

期間のほうは別の動きです。国土交通省が民間の指定確認検査機関15機関に聞いた、事前審査から確認済証までの平均処理期間は次のとおりです(出典:同 資料3)。

  • 改正前:約3〜7日程度
  • 2025年6月末:約29日
  • 2025年9月末:約39日

この数字は全国平均ではありません。対象は審査件数が全国1〜3位の機関と、着工戸数の減少幅が大きい地域を中心に選ばれています。数字も本受付からの期間ではなく、事前審査を含む期間です。それでも、半数以上の機関で6月末より審査期間が増えたと報告されています。件数の回復と審査期間の動きが一致していない機関があることを示す数字です。

審査期間が増えていると答えた9機関は、要因を4つ挙げています。

  • 不慣れな設計者への対応
  • 許容応力度計算や長期優良住宅の活用が増え、1件あたりの審査時間が増えたこと
  • 他の機関から新規の客が移り、申請が増えたこと
  • 審査時間の増加に審査員の数が足りていないこと

審査期間の数字は2025年9月末時点のヒアリングが最後です。編集部が確認した範囲では、それ以降の全国の数字は公表資料に見当たりません。いま何日かかるかは、取引先の確認検査機関に聞くのが確実です。

年度の統計では、建築基準法施行関係統計報告の建築確認件数が2023年度475,601件、2024年度468,136件で、2015年度の575,846件から18.7%減っています。2024年度は2025年3月までなので、施行後の1年分はまだこの統計に入っていません。

着工は2025年3月に急増し、5月に最少となった

国土交通省「建築着工統計調査」の新設住宅着工戸数(利用関係別)は、2025年3月に89,802戸となりました。前年同月の64,308戸から+39.6%です(編集部試算)。本記事の数字は2026年9月分までの時系列データをもとにしています。時期は施行の直前ですが、統計は着工の理由までは示しません。

翌月からは減りました。4月は56,188戸、5月は43,237戸まで下がり、6月に55,956戸、7月に61,409戸と戻っています。利用関係別の2025年3月と5月は、持家22,955戸→11,920戸、貸家42,706戸→18,893戸、分譲住宅23,672戸→11,924戸でした。持家だけの動きではありません。

データで見る

新設住宅着工戸数の推移

年度で見ると、2024年度の816,388戸に対して2025年度は711,171戸で、-12.9%です。ただし2024年度の末尾には2025年3月の急増が入り、2025年度はその直後の減少から始まります。この比較だけで「制度で12.9%減った」とは読めません。

2026年4〜9月は前年より多く、2024年より少ない

2025年3月の急増を比較から外すため、3月を含まない4〜9月の半年で3年を並べます(いずれも編集部集計)。

  • 総計:2024年412,190戸、2025年340,635戸、2026年379,029戸
  • 持家:2024年113,117戸、2025年95,055戸、2026年103,648戸
  • 貸家:2024年181,543戸、2025年150,612戸、2026年171,212戸
  • 分譲住宅:2024年113,852戸、2025年91,280戸、2026年101,247戸

2026年は前年より総計で11.3%増えました。ただ、比べる相手は急増の直後に減った2025年です。2024年と比べると総計で-8.0%、持家で-8.4%、貸家で-5.7%、分譲住宅で-11.1%と、いずれも少ない水準です。分譲住宅はグラフに無いので、本文の数字で確認してください。2024年は施行前の比較期間であって、正常値とは限りません。それでも前年比のプラスだけを見ると、市場の大きさを読み違えます。2023年4〜9月の総計は415,307戸で、2024年同期とほぼ同じ水準でした。

落ち込みが大きいのは木造より非木造

4号特例の縮小で手間が増えるのは木造の小規模住宅なので、木造の着工が大きく減っていると考えがちです。国土交通省の構造別着工戸数で分けると、結果は逆でした(4〜9月の合計、非木造は総計から木造を引いた編集部計算)。

4〜9月

木造

非木造

木造の割合

2023年

235,862戸

179,445戸

56.8%

2024年

233,955戸

178,235戸

56.8%

2025年

202,144戸

138,491戸

59.3%

2026年

230,535戸

148,494戸

60.8%

2026年を2024年と比べると、木造は-1.5%、非木造は-16.7%です。2024年4月は総計76,582戸と多い月だったので、4月を外した5〜9月でも比べました。木造-0.6%、非木造-12.8%で、差の向きは変わりません。

2025年3月の増え方は木造のほうが大きく、木造は51,838戸で前年同月の35,614戸から+45.6%、総計は+39.6%でした。その後の5月は24,563戸まで減っています。

読み方には注意が要ります。木造には貸家や分譲も入り、木造の全部が新2号建築物ではありません。非木造も省エネ基準の適合義務化の対象ですし、マンションの大型案件で月ごとに大きく動きます。言えるのは、着工の戸数で見るかぎり、木造は2024年の水準近くまで戻っているということです。一方で、持家は-8.4%です。木造の戻りを、注文住宅の戻りと読み替えることはできません。

建築費も上がっています。木造の居住専用建築物の工事費予定額を床面積で割ると、2024年度の217,897円/㎡に対して2025年度は227,870円/㎡で、+4.6%でした(建築着工統計から編集部試算。増築・改築を含み、実際の請負額ではありません)。申請にかかる費用の増加と建材や労務の値上がりは、この数字では分けられません。

都道府県別の持家|2024年を上回ったのは3都県

注文住宅に近い持家を、都道府県別に並べます。国土交通省の都道府県別着工戸数の4〜9月を合計しました。2026年4〜9月は47都道府県のうち43で前年同期を上回りましたが、2024年同期を上回ったのは石川県、和歌山県、東京都の3つだけです。10県は15%以上少ない水準です。

都道府県

2024年4〜9月

2025年4〜9月

2026年4〜9月

2026年の2024年比

石川

1,650

1,625

1,875

+13.6%

和歌山

958

954

979

+2.2%

東京

6,723

6,078

6,847

+1.8%

福岡

3,661

3,337

3,646

-0.4%

高知

583

500

580

-0.5%

愛知

7,830

6,994

7,698

-1.7%

福井

1,062

818

1,038

-2.3%

富山

1,313

1,007

1,283

-2.3%

京都

1,787

1,537

1,731

-3.1%

香川

1,155

978

1,114

-3.5%

愛媛

1,443

1,257

1,372

-4.9%

兵庫

4,046

3,789

3,837

-5.2%

山口

1,353

1,205

1,276

-5.7%

大阪

4,951

4,208

4,668

-5.7%

滋賀

1,876

1,553

1,753

-6.6%

三重

2,203

1,750

2,050

-6.9%

岐阜

2,423

2,106

2,244

-7.4%

岡山

2,027

1,793

1,862

-8.1%

広島

2,107

1,648

1,932

-8.3%

埼玉

6,140

4,911

5,630

-8.3%

奈良

1,201

1,014

1,101

-8.3%

神奈川

5,570

4,873

5,040

-9.5%

群馬

2,337

1,999

2,112

-9.6%

茨城

3,680

3,143

3,325

-9.6%

千葉

5,198

4,422

4,649

-10.6%

新潟

2,764

2,295

2,469

-10.7%

宮崎

1,131

904

1,010

-10.7%

佐賀

981

833

876

-10.7%

大分

1,118

946

992

-11.3%

鳥取

641

473

568

-11.4%

静岡

4,587

3,898

4,043

-11.9%

長崎

1,060

811

932

-12.1%

鹿児島

1,749

1,553

1,535

-12.2%

長野

3,245

2,600

2,847

-12.3%

北海道

4,475

3,458

3,894

-13.0%

山梨

1,344

1,172

1,162

-13.5%

山形

1,359

969

1,170

-13.9%

沖縄

1,132

896

960

-15.2%

徳島

853

678

711

-16.6%

福島

2,016

1,447

1,674

-17.0%

岩手

1,342

1,092

1,108

-17.4%

栃木

2,471

2,072

2,038

-17.5%

島根

736

603

600

-18.5%

秋田

1,110

697

903

-18.6%

熊本

2,216

1,729

1,769

-20.2%

宮城

2,025

1,363

1,611

-20.4%

青森

1,485

1,067

1,134

-23.6%

地域の差は大きく、東北は9,337戸から7,600戸で-18.6%、新潟を含む北陸は6,789戸から6,665戸で-1.8%です。九州7県は11,916戸から10,760戸で-9.7%でした。長崎県は1,060戸から932戸で-12.1%です。

この順位を制度の影響の大小と読むことはできません。石川県には能登半島地震からの再建の需要が入っている可能性があり、人口の動きや地域の住宅会社の構成でも数字は変わります。戸数の少ない県は、数十戸の違いで率が大きく動きます。使い道は、自社の商圏が全国の-8.4%より強いか弱いかを確かめることです。県ごとの着工の推移は都道府県別データで確認できます。

統計からわかること、わからないこと

2025年4月は、4号特例の縮小と省エネ基準の適合義務化が同時に始まりました。着工統計は制度ごとに分かれていないので、2025年3月の急増とその後の減少に、制度がどれだけ関係したかは出せません。

着工の水準には、建築費と住宅ローン金利も効きます。2024年と2026年の差をすべて制度の影響とは言えません。建築費の動きはデータで見る建設コスト、住宅市場全体は住宅市場データで確認できます。

審査の件数と期間は、施行前後の推計やヒアリングとして国土交通省が示しています。ただ、新2号建築物だけの全国平均の審査日数や、申請の差し戻し件数は、公表資料の中に見つかりませんでした。審査が自社で何日延びたかは、自社の案件と取引先の確認検査機関の実績で確かめるのが現実的です。

住宅会社の計画への落とし込み

受注計画では、前年比だけで市場を判断しないことが先です。全国の持家は、2026年4〜9月が2024年同期の91.6%でした。自社の目標にこの比率をそのまま当てはめることはできません。商圏の着工、問い合わせ、受注残、商品構成を並べ、2024年の棟数を前提にしてよいかを確かめる材料にします。

工程では、確認申請の図書を作る工程と審査待ちを、見積と工程表に別立てで入れます。新2号建築物では構造と省エネの図書の提出が追加されたので、設計と申請の工数が増える可能性があります。審査待ちは、国の資料の約39日をそのまま使わず、取引先の機関に現在の日数を聞いて置きます。設計にかかった時間と審査の日数を案件ごとに3か月分記録すれば、見積に載せる設計費と工期の根拠になります。

リフォームは受注の前に対象かどうかを確かめます。新2号建築物では大規模な修繕・模様替が確認の対象です。どの工事が該当するかは個別判断なので、受注前に所管の行政庁か確認検査機関へ照会する方法があります。

不慣れな設計者への対応は、審査機関が挙げた遅れの要因の1つです。国の資料も、図書の不備の補正に時間がかかっている点を挙げ、AIを使った事前チェックを2025年11月に提供する予定としていました。受付前に社内で図書の記載漏れを潰しておけば、自社の待ち日数は短くできる余地があります。審査機関が1社だけなら、混み具合を聞ける相手をもう1社持っておくと、工程が組みやすくなります。

失敗しやすいのは、従来と同じ工期で契約してしまうケースです。審査の期間を見込まずに着工日を約束すると、遅れの説明を施主にすることになります。工期は申請の見通しが立ってから約束するほうが安全です。

よくある質問

4号特例は廃止されたのですか

廃止ではなく縮小です。新3号建築物には審査省略制度が続いています。対象の範囲は国土交通省の資料で確認してください。

確認審査は何日かかりますか

国土交通省が民間15機関に聞いた2025年9月末時点の平均処理期間は、事前審査から確認済証まで約39日です。改正前は約3〜7日程度でした。全国平均ではなく、案件と機関で変わります。

着工の落ち込みは4号特例が原因ですか

統計からは言えません。同じ日に省エネ基準の適合義務化も始まっており、建築費や金利の影響も重なります。

2026年の着工は回復したと言えますか

2026年4〜9月は前年同期比+11.3%ですが、比較先は急増の直後に減った2025年です。2024年同期と比べると総計-8.0%、木造-1.5%、持家-8.4%です。


法令は改正される場合があります。実務判断は専門家にご相談ください。

まとめ

申請は2025年9月に例年並みへ戻りましたが、民間15機関の審査期間は約39日まで延びました。着工は2026年4〜9月が379,029戸で、前年比は+11.3%、2024年同期比は-8.0%です。木造は-1.5%まで戻り、持家は-8.4%で、2024年を上回ったのは47都道府県のうち3つでした。受注計画は前年比だけで判断せず、商圏の持家の数字で確かめます。審査待ちと図書の工数は実績を測り、見積と工期に載せます。本記事の着工統計は2026年9月分まで、審査の資料は2025年9月末時点までです。最新の値は住宅市場データで確認できます。

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