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大手ゼネコン上場4社の2025年3月期 連結売上は合計約9.6兆円、清水を除く3社が増収基調

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大手ゼネコン上場4社の2025年3月期 連結売上は合計約9.6兆円、清水を除く3社が増収基調

この記事でわかること

大手ゼネコンと中小建設業の二極化が連結決算で確認できます。スーパーゼネコン上場4社(鹿島・大林・大成・清水)の2025年3月期連結売上は鹿島2.91兆円、大林2.62兆円、大成2.15兆円、清水1.94兆円で合計約 9.6 兆円。データセンター・半導体工場・都市再開発の大型案件の進捗と物価高騰を反映した工事単価上昇が背景として挙げられ、清水を除く 3 社が増収となった一方、中小・零細はTDB「『建設業』の倒産動向(2025 年)」で倒産 2,021 件・TSR 休廃業・解散 10,283 件と過去最多水準。本記事では大手の業績構造(売上と利益の動きを分けて確認)と、中小事業者がポジショニングを考える際の論点を整理します。

主要データ

  • スーパーゼネコン上場4社2025年3月期 連結売上:鹿島建設2兆9,118億円(前期比+9.3%、4期連続増収増益、当期純利益1,258億円 +9.4%)、大林組2兆6,201億円、大成建設2兆1,542億円、清水建設1兆9,444億円(各社2025年3月期決算短信、連結ベース)
  • 4社連結売上合計:約9.6兆円規模。準大手・中堅を含む主要ゼネコン27社の業界紙集計はカバー範囲がさらに広く、本記事は「上場4社の連結決算公表値」として扱う
  • 建設業の倒産:2025年に2,021件で12年ぶり2,000件超(帝国データバンク2026年1月13日公表)、休廃業・解散10,283件で初の1万件超・全産業最多(東京商工リサーチ2026年1月公表)
  • 負債5,000万円未満の倒産が57.7%(TDB 2025年年報)、零細層への偏在が鮮明

注記:本記事の売上数値は各社が公表した連結ベースの決算短信に基づきます。各社IR資料には個別売上高(単体ベース)も併記されており、過去の業界紙集計には個別ベースで合算したものもあるため、引用時には連結/個別の区分を確認することをおすすめします。

建設業界は、大手ゼネコンと中小・零細事業者の二極化が一段と進んでいます。スーパーゼネコン 4 社(鹿島建設・大林組・大成建設・清水建設)の 2025 年 3 月期は連結売上合計で約 9.6 兆円。データセンター・半導体工場・都市再開発の大型案件の進捗と物価高騰を反映した工事単価の上昇が背景として挙げられ、清水建設を除く 3 社(鹿島・大林・大成)が増収となりました。一方、中小・零細では帝国データバンクが集計する建設業倒産が 2025 年に 2,021 件と 12 年ぶりに 2,000 件超え、東京商工リサーチの休廃業・解散調査では建設業 10,283 件で初めて 1 万件を超えています。同じ「建設業」でも見える景色がまったく違う構造です。

関連ダッシュボードは建設業の倒産データもあわせてご覧ください。

スーパーゼネコン上場4社の2025年3月期業績(連結ベース)

スーパーゼネコン 4 社の 2025 年 3 月期売上を整理します(各社決算短信、連結ベース)。

会社

2025年3月期 連結売上

前期比

当期純利益と前期比

鹿島建設

2兆9,118億円

+9.3%

1,258億円(+9.4%)。4期連続増収増益

大林組

2兆6,201億円

増収

大型案件の進捗で利益も改善傾向

大成建設

2兆1,542億円

増収

当期純利益は前期比約3倍超の急回復(赤字案件の収束)

清水建設

1兆9,444億円

減収(4社で唯一)

当期純利益は前期比約3.8倍に回復(不採算案件の影響緩和)

4社合計

約9.6兆円

連結決算公表値の単純合算

清水建設を除く 3 社が増収基調にある主因の一つとみられるのは、データセンター・半導体工場・都市再開発の大型案件の進捗と、物価高騰を反映した工事単価の上昇です(各社IRのセグメント説明・受注高開示を踏まえた整理)。鹿島建設は 4 期連続の増収増益で、当期純利益でも 1,258 億円と安定的な収益構造を示しました。一方、清水建設と大成建設は売上の動きと利益の動きが必ずしも一致しておらず、過去の不採算案件の収束局面で当期純利益が前期比約 3〜4 倍規模に回復している点に注意が必要です。「売上だけで増収・減収を語る」と利益の急回復が見えづらくなるため、決算評価には売上・利益の両指標を併用するのが安全です。

業績ドライバー:3 つの大型案件群

大手ゼネコンの増収を支えているのは、以下の 3 つの大型案件群です(各社IR資料・業界紙報道)。

  1. データセンター建設:クラウド事業者・通信事業者向けの大型データセンター建設が継続。1 件で数百億円〜千億円規模の案件もあり、大手ゼネコンの主力受注源
  2. 半導体工場関連:熊本・北海道などでの半導体製造装置工場・周辺インフラ整備。海外メーカーの国内進出と連動
  3. 都市再開発:東京・大阪・名古屋などの大規模再開発プロジェクト、超高層ビル・複合施設の建替え

これらの案件は工事規模が大きく工期も長期にわたるため、複数年度の業績を支えます。一方、中小・零細事業者には直接の参入機会が限られ、下請として一部参加するか、地域の住宅・小規模工事に留まる構造です。

中小・零細の倒産・休廃業の急増

大手の好調と対照的に、中小・零細では倒産・休廃業が過去最多水準で推移しています。帝国データバンクの「『建設業』の倒産動向(2025 年)」(2026 年 1 月 13 日公表)と東京商工リサーチの「2025 年休廃業・解散企業動向調査」(2026 年 1 月公表)の主要数値を整理します。

区分

2025年件数

備考

建設業倒産

2,021件

12年ぶり2,000件超、4年連続増(TDB 2026-01-13)

建設業休廃業・解散

10,283件

初の1万件超、全産業最多・全体15.3%(TSR 2026-01)

合計(市場退出)

約12,300件

年間約1.2万社が市場から退出

負債5,000万円未満の倒産割合

57.7%

零細層への偏在(TDB 2025年年報)

負債 5,000 万円未満の倒産が 57.7% という数字は、市場から退出する企業の中心が中小・零細であることを示します。建設業全体の景気と、個別企業の経営状況の乖離が拡大している局面です。詳細はP4 倒産記事を参照してください。

二極化の構造的背景

大手と中小・零細の二極化が進む構造的背景を整理します。

受注機会の集中

データセンター・半導体工場・大型再開発は、技術力・施工実績・JV 編成能力・資金繰りの観点で大手ゼネコンに優位性があります。中小は下請として参加する形にとどまることが多く、付加価値の取り分は限られます。

価格交渉力の差

物価高騰局面で、大手は発注者との価格交渉で工事単価上昇を反映しやすい立場にあります。中小は元請の指し値を受け入れる構造が残り、資材高騰・労務費上昇のしわ寄せが利益を圧迫します。改正建設業法(令和6年法律第49号、2024年6月公布、2025年12月12日完全施行)は、(1) 不当に低い請負代金の禁止規律の整理、(2) 注文者・受注者間の原価割れ契約禁止と通知義務、(3) 労務費に関する基準(中央建設業審議会の作成・勧告)など複数の柱で構成され、中小の交渉力強化を狙いますが、運用の浸透には時間がかかると見られています。

人手・技術者の流出

大手は処遇改善(CCUS レベル別手当の制度化など)と教育投資で技術者の確保が比較的容易です。中小は採用力・育成力で劣後し、主力技術者の退職が建設業許可の維持にも影響する構造です。

中小事業者のポジショニング論点

大手と同じ土俵で競うことが難しい中小・中堅事業者が、自社のポジショニングを考える論点を整理します。

1. 専門工事への特化

とび・解体・塗装・防水・電気・管などの専門工事に特化することで、総合工事の価格競争から距離を取る選択肢があります。ただし TDB 2025 年年報では、はつり解体・塗装・防水・機械器具設置などで倒産が過去最多を更新しており、業種選択は需要構造と財務指標を見たうえでの判断が必要です(倒産記事参照)。

2. 公共工事比率の引き上げ

公共工事は前払金・中間前払金・出来高部分払の制度があり、資金繰りの面で中小に利点があります。経審のうちCCUS活用や若年技能者・社会保険加入はW点の評価項目が中心であり、これらに継続的に取り組むことで発注ランクの向上と受注機会の拡大が見込めます。ただし入札参加資格・経審点・保証枠・配置技術者・施工実績の制約があり、参入には準備期間が必要です。

3. 地域・既存顧客への深耕

大手が参入しにくい地域市場・小規模工事・OB 顧客リフォームへの深耕は、価格競争を避ける選択肢です。リフォーム・リニューアル市場は国交省「建築物リフォーム・リニューアル調査」で令和5年度(2023年度)に12.7兆円規模で推移しており(住宅4.0兆円・非住宅8.7兆円)、既存顧客基盤を持つ事業者には継続的な受注機会があります。

4. 早期の事業承継・M&A 検討

建設業の後継者不在率は 57.3%(TDB 2025 年)で全業種ワースト水準です。経営者高齢化が進む中で、倒産・廃業を選ぶ前に事業承継・M&A で事業継続の道を探る選択肢があります(建設業M&A・事業承継の実態参照)。

参照出典

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免責

本記事は2026年4月時点の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の経営判断・投資判断・取引判断の助言ではありません。各社の業績数値は連結ベースの決算短信公表値ですが、本記事の集計や記述はあくまで参考情報です。実際の経営判断は、最新の公式 IR 資料・業界専門家の助言に基づいて行ってください。

出典:各省庁公式データ。最終更新日を必ずご確認ください。
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