
この記事でわかること
2026年のナフサショックは元請ゼネコンに「下請からの値上げ要請」と「発注者への代金変更請求」を同時に押し寄せさせています。改正建設業法(令和7年12月12日完全施行)後初の本格的な価格転嫁局面という制度的タイミングで、民間(七会)連合協定工事請負契約約款と公共工事の3類型スライド(全体・単品・インフレ)を案件類型別に使い分け、建設業法24条の3/24条の6を踏まえた協力会社との誠実協議を仕組み化できるかが、2026年下半期の粗利と工期信頼性を左右します。
主要データ
- ナフサスポット 13.4万円/kL(2026年4月、2025年5月の底値53,800円の約2.5倍。スポット価格の出典:ゴムタイムス/通関価格の出典:財務省貿易統計・日本石油化学工業協会公表値)
- 建材・住設の値上げ・受注停止 26件(2026年3〜6月実施分、各社公式リリース・日経・業界媒体集計)
- 建設業倒産 2,021件(2025年、過去10年で最多。要因別では物価高倒産240件・人手不足倒産113件、出典:帝国データバンク)
ナフサショックは元請ゼネコンに「二重の代金変更ストレス」をかけている
2026年2月末のホルムズ海峡情勢を起点とするナフサショックは、4月に入って建材・住設の値上げ・供給停止として一気に顕在化しました。先行記事で取り上げた断熱材40%、シンナー75〜80%、塗料本体10〜20%、ユニットバスの受注停止・納期未定化(4月20日前後から段階解除)など26件の動きは、サプライチェーンの上流で起きた事象です(2026年3〜6月実施分、各社公式リリース・日本経済新聞・新建ハウジング等の集計)。元請ゼネコンには、この上流の波が「下請からの値上げ要請」と「自社の発注者への代金変更請求」という二方向で押し寄せます。
日銀の企業物価指数(CGPI)建設資材は、2026年2月時点で今回ショックの直近反映がまだ限定的な水準です。生コンクリート156.5、セメント166.2、小形棒鋼149.4、製材136.6、合板・集成材133.8(2020年=100基準、出典:日本銀行 企業物価指数)。メーカーの値上げリリースが先行指標として動き、CGPIが確定値として追随する流れになります。4〜6月の更新でメーカー値上げが反映されると、長期工期の案件で代金協議が一斉に動き始める可能性があります。
制度面では、改正建設業法(令和6年法律第49号)が2025年12月12日に完全施行され、その後初の本格的な価格転嫁局面としてナフサショックが来た形です。取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律、略称:中小受託取引適正化法、2026年1月1日施行)も視野に入りますが、建設工事に係る下請負は原則として取適法の適用対象外です(公正取引委員会Q&A)。建設工事下請の規律は引き続き建設業法ベースで運用します。
ここから先は、案件類型別に使える代金変更条項(章2)、下請との協議で外せない建設業法実務(章3)、協力会社の資金繰り・倒産リスク管理(章4)、大型案件で取れる5つのアクション(章5)、モニタリングKPI(章6)の順で整理していきます。民間案件・公共案件・JV・CM/PMr・分離発注で使える条項と協議手順は大きく異なります。
案件類型別に使える代金変更条項 — 民間と公共では軸が違う
代金変更を引き出すための条項は、民間案件と公共案件で構造が大きく違います。民間は契約約款の改正条項、公共は標準約款のスライド条項に依存します。
民間案件 — 七会約款の2025年12月改正と相対契約
民間(七会)連合協定工事請負契約約款は2025年12月12日改正で、「主要な資材の供給の著しい減少その他の工期に影響を及ぼす事象」が発生したときの工期変更請求権、「資材の価格の高騰その他の請負代金額に影響を及ぼす事象」が発生したときの代金変更請求権が明文化されました。算定方法は受発注者の協議によります。
ただし、民間案件すべてが七会約款を採用しているわけではありません。準拠約款が七会以外の場合や、純粋な相対契約で約款を引かない案件では、契約書に書き込んだ条項がそのまま発動条件になります。資材高騰局面に入ってから「うちの契約書には何も書いていない」と気付くケースが頻出します。契約段階で「資材価格の著しい変動」の定義・協議手続を明記しておくことが、有力な防衛策になります。
公共工事 — 全体・単品・インフレの3類型
公共工事のスライド条項は、全体・単品・インフレの3類型で整理するのが標準です。実務上、3類型を発動条件・受注者負担・対象工期の条件で並べると以下になります。
類型 | 発動の本体 | 受注者負担 | 対象工期等の条件 |
|---|---|---|---|
全体スライド | 賃金・物価水準の変動が請負代金に著しい影響 | 残工事費の1.5%まで受注者負担 | 工期12か月超、契約後12か月経過後、基準日以降の残工期2か月以上 |
単品スライド | 鋼材類・燃料油・その他主要工事材料の価格に著しい変動 | 対象工事費の1%まで受注者負担 | 主要材料の急激な価格変動時、原則として工期末の2か月前までに請求 |
インフレスライド | 急激なインフレで全体・単品では救済しきれないとき(賃金水準変更等に伴う残工事費ベースの調整) | 残工事費の1%まで受注者負担 | 賃金・物価水準が急激に変動した状況、基準日以降の残工期2か月以上 |
※ 出典:国土交通省「公共工事標準請負契約約款」第26条(全体スライド条項)・第26条第5項(単品スライド条項)運用マニュアル、インフレスライド条項運用マニュアル。発注者ごとの限度額・運用差あり。
単品スライドの「1%」を「発動条件」と取り違えるミスが起きやすいので注意が必要です。1%は受注者負担のしきい値であり、発動の本体はあくまで「主要材料の価格に著しい変動」です。資材1%程度の動きで自動的に発動するわけではありません。
もう一点、公共スライドは標準約款ベース(国交省直轄等)と地方自治体個別運用の二層構造になっています。直轄案件と自治体案件で運用要領が異なる場合があるため、自治体案件は当該団体の運用要領を必ず確認してください。発注団体ごとに請求の通り方に差が出るケースは実務上珍しくありません。
CM/PMr・分離発注案件 — 価格転嫁の責任主体を契約レイヤーで整理する
大型案件で増えているCM(コンストラクション・マネジメント)方式や分離発注では、価格転嫁の責任主体が元請(CMR)・発注者・個別工事業者のどこに帰属するかが見えにくくなります。CM at Risk(リスク負担型)と Agency CM(代行型)では代金変更権の構造が違います。契約形態を契約段階で確認し、誰が・誰に・どの契約レイヤーで請求するかを整理しておくのが必須です。
下請からの値上げ要請にどう応えるか — 建設業法を軸に運用する
建設工事下請の規律は、建設業法と国交省の建設業法令遵守ガイドラインが中心です。取適法は周辺取引(後述)に波及しうるものの、建設工事下請には原則として直接適用されません。
協議規律と支払規律は別レイヤーで考える
章本文で混線しやすいのが、発注者-受注者間の協議規律と、元下間の支払規律です。両者は別レイヤーとして整理します。
- 発注者-受注者間の協議規律:改正建設業法とガイドラインが要請する誠実協議、おそれ情報の共有、契約書面・見積条件・協議記録の保存
- 元下間の支払規律:建設業法24条の3(出来高払・竣工払の受領後1か月以内)、24条の6(特定建設業者の50日以内支払期日設定義務)、手形ガイドラインによる支払期日・支払方法の規律
「協議に応じない」は協議規律違反、「支払期日を50日超に設定する」は支払規律違反で、性格が違います。本文では論点ごとにどちらの規律の話かを明示しながら進めます。
建設業法24条の3 と 24条の6 の書き分け
建設業法の支払規律で混線しやすいのが、24条の3と24条の6の取り違えです。条文ごとに対象と起算点が異なります。
24条の3(下請代金の支払)は、元請が注文者から出来高払又は竣工払を受けたら、その日から1か月以内に、かつできる限り短い期間内に、下請へ出来形割合・施工部分に相応する下請代金を支払う規律です。出来高払・竣工払の受領を起算点とします。
24条の6(特定建設業者の下請代金支払期日)は、特定建設業者が注文者となる一定の下請契約について、下請負人の引渡し申出日(24条の4第2項の申出日)から50日以内の支払期日を定めなければならないという上乗せ規律です。違反する設定(50日超)をした場合は、50日経過日が支払期日と定められたものとみなされます。対象除外として、下請負人が特定建設業者または資本金4,000万円以上の法人である場合は適用されません。
24条の3と24条の6を「50日以内支払」の一括りで語ると条文と起算点を取り違えるため、社内マニュアルでは別の規律として書き分けてください。
手形についても押さえておきます。建設業法24条の6第3項は、特定建設業者が下請に交付する手形のうち支払期日までに一般金融機関で割引を受けることが困難な手形の交付を禁止しています。手形サイトの上限は2024年11月1日以降の運用で短縮されており、最新の建設業法令遵守ガイドライン(第12版)では60日超の長期手形が違反おそれ行為として明記されています(旧運用では120日超)。電子記録債権を支払手段に使う場合も、満期到来前の現金化困難性で同等の評価が及ぶ場合があるため、ガイドラインの実務指針に沿った運用設計が必要です。社内規程・既存取引の見直しが入っていない場合は注意してください。
下請からの値上げ要請を受けたときの実務
下請から「資材高騰で単価を見直してほしい」と要請が来たとき、最初の判断分岐は「協議に応じるかどうか」ではなく「何の根拠で協議するか」です。改正建設業法とガイドラインの方向感は、受注者からの誠実協議が要請されていること、契約書面・見積条件・おそれ情報・協議記録の保存が運用の要点になっていることです。一律「うちは固定単価」と協議拒否すれば、契約書記載・行政指導・行政処分の3方向でリスクが増します。19条の3(不当な低い下請代金の禁止)にも抵触する余地があります。
協議を受け入れる場合の実務は次の通りです。既存契約は変更覚書、新規契約は単価更新で対応し、改定範囲は未施工分から適用が一般的です(既出来高分は対象外)。根拠資料はメーカー値上げリリース、CGPI推移、公共工事の労務単価改定など一次資料を参照します。
失敗事例で多いのは、「うちは固定単価で受けた」と協議拒否したケースです。下請が現場から離脱し、代替業者の調達コストと工程毀損が発生して、結局は違約金・遅延損害金で赤字になります。経営インパクトが訴訟リスクより先に効くタイプの失敗です。
協力会社の資金繰りと倒産リスクをどう管理するか
下請の値上げ要請を受け止めるかどうかは、協力会社の資金繰り・倒産リスクと表裏一体です。建設業全体の倒産動向を見たうえで、ゼネコン側が打てる手を整理します。
2025年の建設業倒産は2,021件で過去10年最多
帝国データバンクの集計では、2025年の建設業倒産は2,021件で過去10年最多となりました。要因別では、物価高倒産が240件、人手不足倒産が113件です。CGPIの上昇基調が続いていた中で、資材高騰と労務費上昇が中小建設業の収益を圧迫したことが背景にあります。
規模別・業種別の内訳は2025年分が現時点で公表データに揃っていないため、傾向把握には2024年の参考内訳を見ておきます。以下は2024年参考データです(2025年と混同しないようご注意ください)。
- 2024年参考内訳:総数1,890件のうち、規模別では従業員10人未満が1,742件、10〜50人未満が143件、50人以上はわずか5件
- 2024年参考内訳:業種別では職別工事が879件で最厚、総合工事600件、設備工事411件
- 2024年参考内訳:要因別では物価高倒産250件、ゼロゼロ融資後倒産143件、人手不足倒産99件
2024年参考内訳から読み取れるのは、倒産の構造が零細偏重であるという点です。ゼネコンの主要協力会社(中堅専門工事会社)の倒産がそのまま増えているわけではありません。ただし、孫請以下の二次・三次サプライチェーンは零細層と重なるため、ゼネコンの工程信頼性に確実に効きます。「中堅専門工事会社の倒産は少ない」という安心材料ではなく、「孫請以下が連鎖的に止まると元請も止まる」という危機要因として読むべきです。
設備サブコンの連鎖リスクは別枠で捉える
もう一つ意識しておくべきは、機械設備・電気設備サブコンの連鎖リスクです。設備サブコンは、建築一式工事より先に工程が止まりやすい層です。資材調達難(特に空調機器・配電盤・ケーブル類)、人員配置の不安定化、専門工事会社の二次外注先の倒産といった先行サインが、建築本体より早く表面化します。設備サブコンの月次状況を別ヒアリングルートで把握しておくと、建築本体の工程影響を予測しやすくなります。
元請の防衛アクション
元請が打てる主な防衛アクションは以下です。
- 支払サイトの一律短縮または主要協力会社限定の短縮運用:運転資金負担とのバランスは財務部門と連携して決める
- 出来高ベースの部分払・中間前払金の運用拡大
- 公共工事の前払金の活用:一般に4割、中間前払で追加2割が標準的(出典:国土交通省「公共工事の前金払・中間前金払」運用説明、発注者により限度額・運用差あり)
- 主要協力会社の与信モニタリング:信用調査会社の継続契約 / 自社内KPI
支払サイト短縮は元請の運転資金負担を増やしますが、下請倒産による工期遅延コストの方が大きいケースが多くあります。財務部門と「どこまで短縮できるか」のラインを事前に詰めておくと、いざ要請が来たときの判断速度が上がります。
取適法の周辺取引波及
取適法は建設工事下請には原則非適用ですが、周辺取引には射程が及び得ます。具体的には、資材製造委託(建材・建設資材の製造を委託する場合)や建築設計図面作成委託といった委託類型です。
注意点は、既製品の単純購入は原則として取適法の対象外であることです。仕様等を指定した製造・作成の委託であることが要件になります。「資材を買った」だけなら取適法非該当、「仕様を指定して作らせた」なら取適法該当の可能性、という整理です。なお、設備リースは純粋賃貸借の場合は取適法非該当の可能性があるため、契約形態をケースごとに確認してください。
ゼネコンが直接発注する周辺取引(自社内製の資材製造委託・社内設計委託・OEM発注など)は、契約形態を一度棚卸ししておくと安全です。
大型案件で取れる5つのリスク分担アクション
① 契約条項の発動プロトコルを書面で経営層レベルで合意する
以後の発注者協議は、ベース(現状水準維持)/悪化(ナフサがさらに上昇した仮定)/最悪(長期高止まりの仮定)の3シナリオで整理しておくと、スライド条項の発動判断と整合が取りやすくなります。価格3シナリオの提示に加えて、スライド条項・代金変更条項の発動条件・算定式・協議手続を、契約条項・特記事項・議事録・質問回答書で書面に残してください。口頭合意のみは法務実務として弱く、紛争時に発注者と認識が割れます。発注者経営層との信頼関係に加えて、書面での発動プロトコル合意が必要です。
公共発注者の場合、入札前ヒアリング・質問書は発注者ごとに利用可否や慣行が異なります。当該発注者の調達ルールを確認した上で慎重に活用してください。
② 工期延伸の予防策と発注者協議の前倒し
情勢急変時(原油急騰・主要メーカー受注停止)の協議発動条件を契約に明記しておくのが防衛策です。月次の工程会議で資材調達状況を発注者と共有し、積極的情報開示で不意打ち感を回避します。公共工事は変更協議の前倒し発動を、設計変更・期中協議の手順に乗せます。
「情勢が落ち着いてから話す」と先延ばしにすると、いざ請求した時に「なぜもっと早く言わなかった」となります。早めに会話を始めることが交渉余地を広げる方法です。
③ JV案件は構成員間のコスト分担合意 + 対発注者協議窓口の一本化
JV案件では、ナフサショックで主要建材を担当する構成員に負担が集中するリスクがあります。JV協定に「資材高騰時の構成員間調整ルール」を事前に明文化しておくこと、対発注者協議の窓口は代表企業に一本化して構成員間の調整は内部で済ませる構造にすること。この2点が後出し協議による構成員間の信頼毀損を防ぐ要点になります。
④ VE提案・同等品承認フロー・設計監理者協議で代替仕様を確保
断熱材・塗料・防水材は調達難・高騰品目が集中している領域です。設計図書段階で「同等品認定範囲」を広めに取り、着工後はVE(Value Engineering)提案で代替仕様を発注者・設計監理者に協議します。同等品承認フローを契約段階で発注者と合意しておけば、調達状況に応じて柔軟に切り替えられます。
設備系は監理者承認に加え、確認申請・計画変更等の要否が絡む場合があるため、早期協議が決定的です。「現場で詰まってから代替案を探す」のではなく、「代替案を持った状態で工事に入る」ように設計段階の合意を厚くしてください。
⑤ 主要協力会社・設備サブコンへの定例ヒアリング
主要協力会社(建築一式・専門工事)への月次ヒアリングと、設備サブコン(機械設備・電気設備)への別枠ヒアリングを定例化します。設備サブコンを別枠にする理由は、先に工程が止まる層だからです。
ヒアリングで拾うべきは「言いにくいが要請を考えている」状態の先行サインです。早期に協議に入れば交渉余地が大きく、発注者へのスライド請求にも反映できます。「要請が来てから対応する」のではなく、「要請が来る前に把握する」体制を目指してください。
元請のモニタリングKPI
情勢は日々動きます。経営層が見るべき指標を、外部の先行・遅行指標と社内KPIに分けて整理します。
外部の先行指標(週次):WTI・Brent原油、ナフサスポット、JKM LNG。中東情勢ダッシュボードで継続更新しています。
外部の遅行指標(月次):日銀CGPI建設資材。4〜6月の更新でメーカー値上げの確定値が反映されます。
社内KPI(経営層が定例で見る数値)
- 価格協議の滞留件数:下請からの代金変更要請のうち協議未完了の件数
- 価格変更協議の開始までの平均日数:要請を受けてから自社側で協議に入るまでのリードタイム
- 案件別未転嫁残高:受け入れた値上げ額のうち、発注者にスライド請求できていない金額
- 主要協力会社の資金繰り警戒先数:与信スコア悪化先・支払遅延発生先の件数
- スライド条項発動済み案件の代金変更額の累計
制度動向のウォッチ先:国土交通省(建設業法・建設業法令遵守ガイドライン・スライド条項運用)/公正取引委員会(取適法、ただし建設工事下請は原則非適用)/中小企業庁の発出文書。
まとめ — 元請の真価が問われる局面
2026年のナフサショックは「価格が上がる」イベントではなく、「取引チェーンの規律と契約書面の整備度が試される」イベントです。改正建設業法とガイドラインの枠内で協力会社との誠実協議を実装し、発注者には民間七会約款・公共3類型スライドを根拠を持って発動する。これを早く・正確に・書面で動ける元請が、2026年下半期の受注競争・大型案件の落札・JV組成で有利になりうる局面です。
逆に、「うちは固定単価で受けた」と協議を拒否し続ければ、下請倒産・工程遅延・違約金が連鎖し、結果的に粗利を毀損します。動かないことのコストが、動くことのコストを上回る局面に入ったと見るべきです。
住宅元請の工務店向けの実務論点は先行記事「ホルムズ海峡情勢で建材ナフサショック。工務店が今週動くべき5つの備え」で整理しています。値上げ・受注停止の最新は中東情勢ダッシュボードで継続更新しています。自社の契約書面・スライド運用・協力会社管理を、この週末までに一度棚卸ししておくと効きます。
主な参考資料・出典
- 建設業法(e-Gov法令検索)
- 国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」(第12版)
- 国土交通省「公共工事の前金払・中間前金払」運用説明
- 国土交通省「公共工事標準請負契約約款」第26条運用マニュアル、インフレスライド条項運用マニュアル
- 公正取引委員会「中小受託取引適正化法」Q&A・運用基準(建設工事下請への適用整理)
- 民間(七会)連合協定工事請負契約約款(2025年12月12日改正版)
- 日本経済新聞、新建ハウジング、リフォームオンライン、Bloomberg(資材高騰・受注停止の業界動向報道)
- カネカ・スタイロ化工・JSP・旭化成建材・アキレス各社公式リリース(断熱材値上げ)
- 日本ペイント・エスケー化研公式リリース(塗料・シンナー値上げ)
- TOTO・LIXIL・クリナップ・パナソニックハウジングソリューションズ公式リリース(ユニットバス受注停止・納期未定化)
- 田島ルーフィング・日新工業公式リリース(防水材料)
- 東京製鐵・吉野石膏・信越化学工業・積水化学工業公式リリース(鋼材・石膏ボード・塩ビ)
- 帝国データバンク「建設業」倒産動向調査
- 日本銀行 企業物価指数(CGPI)
- ゴムタイムス(ナフサスポット価格)/財務省貿易統計・日本石油化学工業協会(ナフサ通関価格)
個別の値上げ・受注停止26件の実施日・改定率・出典URLは 中東情勢ダッシュボード のトラッカーで全件確認できます。
※ 法令・契約条項の解釈、個別案件のスライド条項発動可否は、専門家にご相談ください。情勢・価格・制度運用は短期で変動するため、契約判断は最新の公表資料・公式リリースを併せてご確認のうえお進めください。


